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管理職育成方法を見直すには?人事戦略と連動させる5つのステップ

「管理職研修は毎年やっているのに、成果が見えない」「次世代リーダーが育っているのか分からない」——こうした課題を抱える企業は少なくありません。

近年は、事業環境の変化が加速し、解決すべき課題も複雑化しています。それに伴い、管理職に求められる役割も大きく変化しています。現場マネジメントだけでなく、組織づくりや部下育成、変革の推進など、より幅広い役割を担うことが期待されるようになりました。

また、従来型の管理職研修を毎年実施していても、現場での行動変容や組織成果につながらないという声も少なくありません。その背景には、育成施策が単発で終わっていることや、経営方針と十分に連動していないことなどの課題があります。

この記事では、管理職育成を単なる研修運営としてではなく、経営成果を支える全体方針の一部として見直す考え方を整理します。そのうえで、人事戦略と連動した管理職育成を実現するための5つのステップを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.管理職育成が成果につながりにくい3つの課題
    1. 1.1.①経営戦略と育成施策が切り離されている
    2. 1.2.②単発研修で終わり、実践につながらない
    3. 1.3.③評価や昇進と連動していない
  2. 2.管理職育成を見直す5つのステップ
    1. 2.1.ステップ1|経営戦略から「求める管理職像」を定義する
    2. 2.2.ステップ2|現状とのギャップをアセスメントで可視化する
    3. 2.3.ステップ3|階層別の育成プログラムを体系化する
    4. 2.4.ステップ4|評価制度・サクセッションプランと連動させる
    5. 2.5.ステップ5|効果測定とPDCAで継続的に改善する
  3. 3.管理職育成を「仕組み化」するデジタルラーニングの活用
  4. 4.ビジネスマスターズ®を活用した管理職育成
  5. 5.まとめ
  6. 6.FAQ

管理職育成が成果につながりにくい3つの課題

管理職育成がうまくいかない企業では、個別の施策そのものよりも、育成全体の考え方に課題があるケースが少なくありません。

例えば、毎年研修を実施していても、その内容が現在の組織課題や事業環境に合っていなければ、期待した成果は得られません。また、管理職に求める役割が曖昧だったり、研修後の実践機会が不足していたりすると、学びは現場に定着しにくくなります。

さらに、評価制度や昇進要件と育成方針が連動していない場合、管理職にとって学習の優先順位が上がりにくいという課題もあります。

ここでは、管理職育成が成果につながりにくくなる代表的な課題を3つ紹介します。

▼成果につながりにくい3つの課題

①経営戦略と育成施策が切り離されている

管理職に求められる役割は、企業の経営方針や事業戦略によって大きく変わります。

例えば、海外展開を進める企業では、多様な価値観を持つメンバーをまとめるマネジメント力や、変化の大きい環境で意思決定する力が求められます。一方で、国内既存事業の収益改善を重視する企業では、業務改善や組織運営の安定性、人材定着を促進する力が重視されます。

しかし実際には、経営方針や事業課題との接続が十分に見直されないまま、長年運用してきた育成体系が、現在の事業環境や組織課題と十分に整合していないケースがあります。外部研修を導入しても、「なぜこの内容を学ぶ必要があるのか」が管理職本人に伝わっていなければ、現場での活用にはつながりにくくなります。

さらに、管理職像は定義されていても、現在の経営課題や事業戦略との整合性が十分に見直されていないケースもあります。その結果、1on1やDX、エンゲージメント向上など個別テーマの施策は増える一方で、管理職に求める能力要件とのつながりが見えにくくなることがあります。

管理職育成を成果につなげるには、自社が求める管理職像を明確にすることが重要です。

②単発研修で終わり、実践につながらない

管理職研修では、多くの知識やフレームワークが扱われます。しかし、研修で学んだ内容を現場で継続的に活用しなければ、行動変容にはつながりません。

特に管理職は日々の業務負荷が高く、研修後に実践や振り返りの時間を確保できないまま通常業務へ戻ってしまうことも少なくありません。その結果、「研修直後は意識が高まったものの、数週間後には元に戻ってしまった」という状態が起こりやすくなります。

また、部下との面談やチーム運営、目標設定など、管理職業務の多くは実践を通じて身につくものです。そのため、知識のインプットだけでは十分とはいえません。現場で試行錯誤し、その結果を振り返る機会まで含めて設計する必要があります。

行動変容を促すためには、研修前後を含めた学習の流れを整えることが重要です。例えば、次のような取り組みが考えられます。

  • 研修前に現場課題や悩みを整理する

  • 研修内でケース討議や実践演習を行う

  • 研修後に実践テーマを設定する

  • 上司や人事との振り返り機会を設ける

  • 一定期間後に成果や課題を共有する

継続学習の環境が不足している企業では、振り返りや学び直し、知識補強の機会も限られます。単発イベントとして研修を終わらせるのではなく、継続的に学び続けられる環境づくりまで含めて検討することが重要です。

③評価や昇進と連動していない

管理職育成を進めるうえでは、学習内容と評価制度の整合性が重要です。

例えば、育成方針として「部下育成力を高める」と掲げていても、評価項目が短期業績だけに偏っている場合、管理職は日々の数字管理を優先しやすくなります。その結果、部下育成や組織づくりに十分な時間を割きにくくなることがあります。

また、昇進後に初めて管理職研修を受ける企業では、「管理職になってから学ぶ」状態になりやすく、管理職候補層の準備不足につながるケースもあります。次世代リーダー育成を進めるには、早い段階から求められる役割や期待を共有し、段階的に経験を積ませることが重要です。

近年は、管理職自身が部下育成の経験を十分に積めないまま昇進するケースも見られます。背景には、プレイングマネージャー化の進行により、部下育成に十分な時間を確保しにくいことや、短期的な業績向上が優先されやすいことがあります。

そのため、管理職育成を研修だけで完結させるのではなく、評価制度や昇進要件、タレントマネジメントなどと連動させて考える必要があります。整合性の取れた人事制度や施策によって、管理職本人も「なぜ学ぶのか」「何を期待されているのか」を理解しやすくなり、結果として学習への主体的な取り組みも促進されます。

管理職育成を見直す5つのステップ

管理職育成を効果的に進めるためには、個別の研修施策ではなく、人事戦略や経営方針と連動した育成の仕組みとして捉えることが重要です。

重要なのは、単に研修テーマを増やすことではありません。経営方針を踏まえながら、求める管理職像の定義、現状把握、育成施策、評価、改善までを一貫した流れとして見直すことが求められます。

ここでは、管理職育成を見直す際に押さえておきたい5つのステップを紹介します。

▼管理職育成を見直す5ステップ

管理職育成を見直す5ステップ

ステップ1|経営戦略から「求める管理職像」を定義する

最初に行うべきなのは、「どのような管理職を育てたいのか」を明確にすることです。

管理職に求められる役割は、企業の経営方針や事業戦略によって異なります。そのため、管理職育成は中期経営計画や事業戦略を踏まえて設計する必要があります。事業成長のためにどのような組織を目指すのか、その実現に向けて管理職へ何を期待するのかを整理することが出発点です。

管理職像を定義する際は、「リーダーシップがある人」のような抽象的な表現ではなく、役割・スキル・行動特性の3つの観点で整理すると明確になります。

項目

役割

部門目標の達成、部下育成、変革推進

スキル

マネジメント力、対話力、意思決定力

行動特性

自ら働きかける、部門を越えて協力する

こうした内容を具体的な言葉で定義することで、育成方針や施策の方向性を統一しやすくなります。

管理職像は一度定義して終わりではなく、事業環境や経営課題の変化に応じて定期的に見直すことも重要です。

ステップ2|現状とのギャップをアセスメントで可視化する

理想の管理職像を定義した後は、現状とのギャップを把握します。

ここで重要なのは、感覚的な評価だけに頼らないことです。「最近の管理職は育成力が弱い」「リーダーシップが不足している」といった印象だけでは、必要な施策を判断しにくくなります。そのため、アセスメントやアンケートを活用し、現状を客観的に把握する必要があります。

▼現状を可視化する手法例

手法・データ

確認できる内容

360度評価

上司・同僚・部下から見た行動特性

コンピテンシー診断

期待行動とのギャップ

エンゲージメント調査

組織状態やマネジメントの影響

離職率・部門成果

組織課題との関連性

こうした情報を組み合わせることで、管理職個人の課題だけでなく、組織全体の課題も把握しやすくなります。

管理職育成では、「何を学ばせるか」だけでなく、「どこに課題があるのか」を明確にすることが重要です。現状分析が十分でないまま施策を追加しても、現場の課題とずれた内容になりかねません。

また、アセスメントは実施して終わりではありません。育成施策の実施後にも変化を確認し、改善につなげることで、育成の効果を継続的に高めることができます。

ステップ3|階層別の育成プログラムを体系化する

管理職育成では、対象者ごとに求められる役割や経験が異なるため、階層別に育成内容を整理する必要があります。

例えば、新任管理職では部下との関係構築や基本的なマネジメントスキルが重要になります。一方、中級管理職では組織運営や他部門との調整、上級管理職では事業戦略や経営判断などが求められます。

階層別育成を考える際によく活用されるのが、組織論で広く活用されているロバート・カッツの「カッツモデル」です。カッツモデルでは、管理職に必要なスキルを「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つに分類し、階層によって重視される割合が異なるとされています。

▼管理職階層ごとに重視される役割とスキル(カッツモデルの考え方)

階層

重視される内容

主に求められるスキル

新任管理職

業務管理、評価面談、部下育成などの実務スキル

テクニカルスキル、ヒューマンスキル

中級管理職

チーム運営、他部門調整、課題解決

ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル

上級管理職

事業戦略、組織変革、経営判断

コンセプチュアルスキル

階層別の育成体系を整備する際は、組織が各階層に期待する役割と、現在抱えている課題を結びつけながら学習テーマを設計することが重要です。

ステップ4|評価制度・サクセッションプランと連動させる

管理職育成を定着させるには、研修だけで完結させず、評価制度や人材配置と連動させる必要があります。

例えば、「部下育成を重視する」と掲げていても、評価制度に反映されていなければ、現場では優先順位が下がりやすくなります。そのため、管理職に期待する役割や行動を評価項目へ反映し、育成方針と日々のマネジメントを結びつけることが重要です。

また、次世代リーダー育成を進めるためには、サクセッションプランも欠かせません。

▼施策例と目的

施策

目的

評価制度との連動

求める行動や役割を定着させる

サクセッションプラン

将来の経営人材・後継候補を計画的に育成する

タレントレビュー

候補者の強みや課題を継続的に把握する

こうした取り組みによって、「誰を、どのように育成するのか」を組織全体で共有しやすくなります。

管理職育成は人事部門だけで完結するテーマではありません。経営層や現場責任者も含めて、将来必要な人材をどのように育成するのかを継続的に確認することが重要です。

ステップ5|効果測定とPDCAで継続的に改善する

管理職育成では、「研修を実施したかどうか」だけでなく、どのような変化が生まれたのかを確認する必要があります。

例えば、受講満足度だけを見ている場合、実際に現場で行動が変わったのかまでは分かりません。管理職育成では、学習内容が現場で活用され、組織成果にどのような影響を与えたのかまで確認することが重要です。

効果測定の考え方として広く活用されているのが、カークパトリックモデルです。

▼カークパトリックモデルの4段階評価

評価段階

確認内容

反応

受講者の満足度や反応

学習

知識・スキルの習得度

行動

現場での行動変容

成果

組織成果や業績への影響

管理職育成では、特に「行動」と「成果」の視点が重要です。上司による観察や360度評価、部門成果などを活用することで、育成施策の効果や改善点を把握しやすくなります。

また、管理職育成は短期間で成果が見えにくい取り組みです。そのため、アセスメント結果や現場ヒアリング、離職率、エンゲージメント結果などを継続的に確認しながら改善を重ねる必要があります。

育成施策は一度構築して終わりではありません。経営方針や組織課題の変化に応じて見直しを行いながら、自社に合った育成の形へ改善していくことが重要です。

管理職育成を「仕組み化」するデジタルラーニングの活用

ここまで見てきたように、管理職育成では、理想像の定義から実践、評価、改善までを継続的に行う必要があります。

しかし、対象者数の多い企業では、集合研修だけで継続的な学習機会を提供することが難しい場合があります。また、管理職は日々の業務負荷が高く、学び直しの時間を確保しにくいという課題もあります。

そこで活用されているのが、デジタルラーニングです。動画教材やオンライン学習を活用することで、時間や場所にとらわれずに学習機会を提供しやすくなります。また、アセスメント結果と連動させることで、一人ひとりの課題に応じた学習も進めやすくなります。

▼集合研修とデジタルラーニングの役割比較

集合研修とデジタルラーニングの役割比較

さらに、研修後の復習や実践内容の振り返りを継続しやすい点もデジタルラーニングの特徴です。集合研修と組み合わせることで、学習内容の定着や行動変容を支援しやすくなります。

ビジネスマスターズ®を活用した管理職育成

管理職育成を継続的に運用するには、自社の育成方針に合わせて学習環境を整える必要があります。

研修動画見放題サービス「ビジネスマスターズ®」では、動画を視聴するだけで終わらせない学習支援を提供しています。例えば、評価項目や集合研修計画を踏まえた学習計画の設計、動画視聴前後のテスト実施、フィードバック付きレポートの運用などを支援しています。

実際の管理職向け研修では、次のような仕組みを取り入れた事例があります。

  • 集合研修やコンピテンシーと連動した年間学習計画を設計

  • 動画学習を年間視聴計画に組み込み、継続的な学習を促進

  • 定期的なディスカッションの機会を設け、学習内容の定着を支援

  • 年代別・職種別などテーマに応じて参加メンバーを編成

こうした取り組みにより、参加者同士が経験や考え方を共有する「ピア・ラーニング」が促進されます。多様な視点に触れることで視野や視座が広がり、学習内容を自身の業務へ結びつけやすくなります。

その結果、管理職が学びを現場で実践しやすくなり、継続的な成長につながる環境づくりを支援できます。

まとめ

この記事では、管理職育成の方法について以下の内容を解説しました。

  • 管理職育成が成果につながりにくい3つの課題

  • 管理職育成を見直す5つのステップ

  • 管理職育成を「仕組み化」するデジタルラーニングの活用

  • ビジネスマスターズ®を活用した管理職育成

管理職育成が成果につながらない要因として、経営方針と育成施策の不一致、単発研修による学習の断絶、評価制度との連動不足などが挙げられます。そのため、個別の研修を実施するだけでなく、育成全体を一貫した仕組みとして設計することが重要です。

管理職育成を進める際は、まず求める管理職像を明確にし、現状とのギャップを把握したうえで、階層ごとに必要な学習機会を整える必要があります。また、評価制度やサクセッションプランと連動させることで、育成施策の実効性を高めやすくなります。

さらに、管理職育成では継続的に学べる環境づくりも欠かせません。集合研修に加えてデジタルラーニングも活用しながら、実践・振り返り・学び直しを繰り返せる仕組みを整えることが重要です。

管理職育成を単発施策ではなく中長期の取り組みとして捉え、自社に合った育成の仕組みを構築しましょう。

自社の管理職育成にデジタルラーニングをどのように取り入れるべきか悩んでいる場合は、実際の動画コンテンツも確認しながら、活用方法をご相談いただくことも可能です。

FAQ

Q1. 管理職育成がうまくいかない主な原因は何ですか?

A. 管理職育成では、経営方針と育成内容が十分に結びついていないことや、単発研修で終わってしまうことがよくあります。また、評価制度や昇進要件と育成方針が一致していない場合、学習の優先順位も下がりやすくなります。

Q2. 管理職研修だけでは不十分なのはなぜですか?

A. 管理職業務は、現場での実践を通じて身につく部分が大きいためです。研修で学んだ内容を現場で試し、振り返る流れがない場合、行動変容につながりにくくなります。

Q3. 次世代リーダー育成では何から始めるべきですか?

A. まずは、自社でどのような管理職やリーダーを育てたいのかを明確にすることが重要です。そのうえで、現状とのギャップを確認し、必要な経験や学習機会を整理します。

Q4. サクセッションプランとは何ですか?

A. 将来の重要ポジションを担う候補者を整理し、必要な経験や育成機会を計画的に準備する考え方です。次世代リーダー育成を中長期で進める際に活用されます。

Q5. デジタルラーニングは管理職育成にどのように役立ちますか?

A. 動画教材やオンライン学習を活用することで、時間や場所に左右されずに学習機会を提供しやすくなります。また、研修後の復習や学び直しにも活用しやすく、継続学習の環境づくりにも役立ちます。

内海 優花
内海 優花
サイコム・ブレインズ コンサルタント 大学卒業後、約10年間法人営業として多様な業界の顧客支援を経験。前職でHR関連部署の立ち上げに関わり、エンゲージメント調査やその後の改善施策の実行に携わる中で、人材育成が組織の持続的な成長に欠かせないことを実感。現在はコンサルタントとして、企業ごとの課題に合わせた研修施策を提案している。人材育成を通じて、組織がより良い社会をつくる力を高めていく一助になれることに、やりがいを感じている。

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