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営業研修で営業力強化を実現する方法~教育担当者のための人材育成の成功法則

営業力の強化は、企業の持続的成長に直結するテーマです。教育担当者にとっては「どのように研修を設計し、現場の成果につなげるのか」という課題が常に突きつけられています。

しかし現実には、「研修をやって終わり」で知識が定着しない、現場で活用されない、といった声も少なくありません。せっかくの投資が成果につながらなければ、現場のモチベーションは下がり、経営層への説明責任も果たしづらくなります。

営業という職種は、顧客との接点を担い、売上や利益を直接左右する重要な役割です。だからこそ、営業研修の成否は組織の競争力に大きな影響を与えます。本コラムでは、営業研修が必要とされる背景から、成果を出すための具体的な視点、さらにサービス選定のチェックポイントまでを体系的に解説していきます。

教育担当者が研修を単なるイベントではなく、成果へとつなげる仕組みに変えていくためのヒントを、この記事でぜひ掴んでください。

営業研修が必要とされる背景

市場環境の変化と営業スタイルの転換

営業を取り巻く環境は、この10年で大きく変化しました。従来は営業担当者が顧客に情報を提供し、商品やサービスを理解してもらうことが中心的な役割でした。しかし今では顧客が自らWeb検索やSNSを通じて情報を収集し、営業担当者と接触する前に比較検討を終えているケースが増えています。

内閣府「Society 5.0」や経済産業省「DXレポート2」などでも、こうした購買行動の変容が指摘されており、営業に求められるのは「情報提供」から「課題解決」へと明確にシフトしています。営業担当者は顧客の抱える本質的な課題を理解し、解決策を提示する存在としての役割を期待されているのです。

▶図表1:顧客の購買行動の変化

教育担当者に突きつけられる課題

この変化は教育担当者にとって重大な課題です。若手社員は基礎的な商品知識やヒアリング力に不安を抱え、中堅社員は提案力や案件管理力の不足が課題となり、管理職層にはチーム戦略やデータ活用のスキルが求められます。つまり階層ごとに異なるスキルギャップが存在し、それを埋める体系的な営業研修が不可欠なのです。

ところが実際には、従来型の「一斉研修」や「短期集中型研修」では、こうした多様なニーズに十分対応できていません。教育担当者は現場からは「すぐに役立つ実践性」を、経営層からは「投資対効果」を求められ、二重のプレッシャーにさらされています。

政府・官公庁データから見る研修実態

厚生労働省「能力開発基本調査(令和4年度)」によれば、正社員に対してOFF-JT(集合研修や外部講座)を実施している事業所は75.4%に達しています。しかし一方で、非正社員に対して実施している事業所は35.9%にとどまっており、雇用区分によって教育の機会に依然として大きな格差が存在することが明らかになっています。

このことは、多くの企業が人材育成に取り組んでいるものの、対象や機会が限定的である現状を示しています。教育担当者には、「誰に、どのような形で研修を提供するか」を戦略的に設計する視点が求められています。



▶図表2:OFF-JTを実施している事業所割合

※参考資料:能力開発基本調査(令和4年度)/厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html


営業研修が必要とされる背景をまとめると、以下の4点があるといえます。

① 顧客は「情報」より「解決」を期待している
② 社員層ごとに埋めるべきスキルギャップがある
③ 教育機会には依然として不均衡が残っている
④ 教育担当者は成果を生む研修設計が必須になっている

つまり営業研修は「実施すること」自体が目的ではなく、「いかに設計し、現場で成果に結びつけるか」が問われています。教育担当者にとって、戦略的な営業研修の企画・運営は今や必須の課題となっています。

では、従来の営業研修がなぜ、十分な成果を生まないのかを見ていきましょう。

営業研修だけでは成果が出ない理由

一度の研修で終わってしまう

多くの企業が抱える共通の課題は、「研修をやっても成果につながらない」という現実です。特に営業研修は短期間・単発型で実施されることが多く、受講直後は理解度やモチベーションが高まるものの、現場に戻れば日常業務に追われ、学んだ知識やスキルが活用されないまま時間が経過してしまいます。

厚生労働省「能力開発基本調査(令和4年度)」の結果からも、研修の実施は広がっている一方で、対象範囲や機会に偏りが残されていることが分かります。

つまり「研修を実施すること」自体は定着しつつあるものの、実施するだけでは不十分であり、研修内容を現場で定着させ成果につなげる工夫が欠かせないというのが現場の実情です。研修後のフォローアップや実務での活用支援といった仕組みがなければ、営業力強化という本来の目的を果たすのは難しいでしょう。

営業力は複合的なスキルで成り立つ

営業研修が成果につながりにくい理由は、営業力が単一のスキルではなく、複合的な能力から成り立っている点にもあります。
営業力を構成する代表的な4要素は以下の通りです。

  1. 知識:商品・サービスの知識、業界や市場の知識
  2. スキル:ヒアリング力、提案力、交渉力
  3. マインド:顧客志向、主体性、チャレンジ精神
  4. プロセス:営業プロセス管理、CRMやデータ活用

単発研修で一部の知識やスキルだけを取り上げても、マインドやプロセスが伴わなければ成果には直結しません。逆に、プロセスを整備しても営業担当者のマインドが受け身のままでは顧客との信頼関係を築けません。営業力は「部分最適」ではなく「全体最適」で強化する必要があり、そのためには体系的で継続的な研修設計が不可欠です。

▶図表3:営業力を構成する4要素

教育担当者が抱える現実的な壁

教育担当者にとって、もう一つの課題は「短期成果」と「長期育成」のバランスです。経営層からは「研修の効果を数値で示してほしい」と求められる一方、営業現場で実際に成果が表れるのは数か月から1年以上先になる場合が多いのです。

更に現場の営業担当者は日常業務が多忙で、研修に割ける時間や意欲にも限界があります。研修設計が現場業務と切り離されてしまうと「やらされ感」が強まり、受講者の行動変容は起こりません。

教育担当者は、こうした現実的な制約を乗り越えるために「研修後のフォロー」「現場での実践機会」「成果を可視化する仕組み」を同時に設計する必要があります。


営業研修が成果に直結しにくい理由を整理すると、以下の3点に集約されます。


①短期間・単発型研修では知識が定着せず、行動変容につながらない

②営業力は複合的な要素で構成されるため、部分的な育成では不十分

③教育担当者は短期成果と長期育成の板挟みとなり、現場との接続が弱い研修になりがち


このように、営業研修は「実施すること」が目的化してしまうと成果を生みません。教育担当者が成果を引き出すためには、研修を「点」ではなく「線」として捉え、継続的かつ現場密着型に設計する視点が不可欠です。

成果を出す営業研修の3つの視点

営業研修を成果に結びつけるためには、単に知識を伝える場にするのではなく、現場での行動変容を引き起こす仕組みが欠かせません。教育担当者が設計段階で押さえるべき重要な視点は、大きく3つに整理できます。

① 現場実践と結びつける

最も重要なのは、研修で学んだことを現場で即実践できる形にすることです。営業担当者は日々の業務で多忙であり、抽象的な知識や理論だけを学んでも、現場に戻った瞬間に活用されないケースが少なくありません。

例えば、ロールプレイング形式での顧客対応練習、実際の提案資料を題材にした改善演習、既存の商談案件を持ち寄ったケーススタディなどを組み込むと、学びが自分ごととして浸透します。特に営業力強化では「習った内容を翌日の商談で使える」という実践性が成果を左右します。

教育担当者は研修設計時に「現場の仕事にどう直結するか」を明確にし、参加者が自社の顧客・案件を題材に考えられる仕組みを用意することが大切です。

② 継続的なフォローアップ

成果を定着させるうえで欠かせないのが「フォローアップ」です。単発研修の弱点は、受講後に知識が徐々に失われてしまう点にあります。これを防ぐには、学んだ内容を繰り返し思い出し、日常業務で実践し続ける機会を設ける必要があります。

具体的には以下のような仕組みが効果的です。

• 動画ライブラリやeラーニング:受講後にいつでも学び直せる環境を用意

• 定期的なオンラインフォローセッション:研修後1か月・3か月・6か月などの節目に復習・共有の場を設定

• 上司によるOJTや1on1:現場での実践を振り返り、フィードバックを与える


このように研修を「点」ではなく「線」で支える仕組みを持つことで、教育効果は飛躍的に高まります。厚労省の調査でも、フォロー体制を持つ企業ほど「研修効果を実感している割合」が高い傾向が見られています。

③ 階層別・職種別に設計する

営業研修の効果を高めるには、受講者の階層や役割に応じた設計が必要です。若手社員と管理職では求められるスキルが大きく異なり、同じ内容を一律に実施しても成果は限定的です。

• 若手社員:商品知識、基本的なヒアリングや提案の型を習得する段階

• 中堅社員:顧客課題を深掘りし、解決策を構築・提案する力が求められる

• 管理職層:チーム全体の営業戦略、案件管理、メンバー育成が中心課題

更に、法人営業と個人営業、新規開拓と既存顧客深耕では必要なスキルセットも違います。教育担当者は「誰に、どの段階で、何を身につけさせるか」を整理し、職種別・階層別にプログラムを組み立てる必要があります。

▶図表4:階層別に求められる営業力の違い

教育担当者はこれらを押さえることで、「研修をやっただけで終わる」という従来の課題を克服し、営業力強化を確実に成果へと結びつけることができます。

まとめ:次のステップ

本記事では、営業研修が求められる背景と成果が出にくい理由、そして教育担当者が押さえるべき視点について整理してきました。ポイントを振り返ると、以下のようにまとめられます。

  • 顧客行動の変化により、営業担当者には「課題解決型」へのシフトが求められている
  • 従来の短期・単発型研修では知識が定着せず、行動変容につながらない
  • 営業力は「知識・スキル・マインド・プロセス」の複合要素から成り立つため、部分的な育成では不十分
  • 成果を出すためには、①現場実践との接続、②継続的なフォローアップ、③階層別・職種別設計 が不可欠
  • サービス選定にあたっては、目的の明確化・フォロー体制・階層別対応・実績の裏付けを基準にすることが重要

つまり営業研修は、「実施すること」自体が目的ではなく、成果を生み出す仕組みづくりこそが本質です。教育担当者は、研修を単なる学習イベントとせず、現場の営業活動に直結する施策として企画・運営する役割を担っています。

次のステップとしては、まず自社の営業現場を振り返り、次の問いを立ててみるとよいでしょう。

  • 現場の営業担当者はどの段階でつまずいているか?
  • 若手・中堅・管理職でどのようなスキルギャップが存在するか?
  • 研修後のフォロー体制は整っているか?
  • 研修の成果をどう測定し、経営層に示すか?

これらの問いに答えることで、自社に必要な研修の方向性が明確になります。

教育担当者は、現場の課題と経営層の期待をつなぐ「橋渡し役」です。営業研修を正しく設計し、外部サービスを効果的に活用できれば、営業力の強化は単なる人材育成にとどまらず、企業の持続的な成長戦略に直結します。

営業研修は、単発のイベントではなく、組織全体の変革を支える仕組みづくりです。本記事を参考に、ぜひ自社に最適な研修の設計とサービス選定に取り組んでみてください。


営業力を鍛える施策

当社では、営業力強化研修を「ただやっただけ」で終わらせず、実務で成果が上がる“使えるスキル”として定着させる支援を特徴としています。

デジタルラーニング「ビジネスマスターズ」と、集合研修や公開講座を提供する「サイコム・ブレインズ」のコンテンツを組み合わせ、人材育成課題に最も効果的なアプローチをご提案します。

以下で、当社が提供する営業力強化研修の独自性を3つの観点からご紹介します。

① 組織文化に根ざした「対話型設計」
動画教材+ミニワークショップ+チャット投稿による集合知形成を組み合わせた構成で、受講者同士の対話を通じて、俯瞰的な気づきと学びを深める設計が明示されています。またこのプラグラムは、運営工数も省エネ。学習プラットフォーム「Business Masters」を用い、自動案内メールなど、運営フローを効率的に進めることができます。

ソリューション営業トレーニング

ソリューション営業トレーニング

ビジネスマスターズ:まなラン

モノ売りからコト売りへー。ソリューション営業にシフトするための基本スキルを身に付けるという必須スキル視点と、動画によるインプット+ワークショップによるアウトプットを、短時間x数回で行うプログラムという時間が惜しい営業パーソンの環境、両面を考慮したプログラムです。


② 映像教材+ワーク・テキスト+理解度テストによる「定着支援設計」
分かりやすい映像教材構成(ソリューション営業のスキルセット)と、実力テスト(理解度テスト)を組み合わせた自律型のラーニング設計が特徴です。対象者に合わせたゴールレベルを細かく設定し、動画+テキスト+理解度テストによる定着支援型ラーニングプログラムとして提供されています。

営業力強化のための三原則『HPC』

ビジネスマスターズ:コースウエア

サイコム・ブレインズ独自のソリューション営業のフレームワーク『HPC』を、徹底的に・短時間で実践スキルへ変換するプログラムです。営業パーソンがソリューション営業のスタイルを身に付けるために必要な要件を「スキルセット」として5つに整理。営業としてお客様に向き合う姿勢やマインド、HPCを実践するための詳細スキル、最後に、面談に向けた事前準備を理解いただける、学びの成果を最速・最短で実践につなぐコースウエアプログラムです。

③ 企業課題とその解決策に特化した「完全カスタマイズ型設計」
サイコム・ブレインズの研修は、完全カスタマイズ型でクライアント組織の課題に応じて設計されております。経営環境の変化やグローバルな人材育成のトレンドを踏まえ、課題解決と成果創出にこだわった完全カスタマイズ型でご提供しています。

『HPC』営業スキルアップ研修

サイコム・ブレインズ:研修プログラム

サイコム・ブレインズの研修プログラムは、人財育成における最先端の手法や理論を取り入れ、社会の変化にも対応できるソリューションで、組織課題の解決や能力開発、個人のキャリア形成をサポート。課題解決と成果創出にフォーカスした完全カスタマイズ型でご提供しています。

ビジネスマスターズのソリューション【営業力強化】

ビジネスマスターズでは、実践的な【ソリューション営業】のスキル強化や【複合的な営業スキル】を養う人材育成コンテンツを提供しております。


ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
教授システム学修士であり、eラーニングシニアコンサルタントであるデジタルラーニング事業部門長 花木喜英率いるビジネスマスターズ・マーケティングチーム。企業研修登壇実績10年以上・年間100本以上をこなすサイコム・ブレインズ/プログラムディレクター 小西功二とメンバー3名で、企業とビジネスパーソン双方が利を得る教材開発をコンセプトに、学術理論を徹底研究し開発されたビジネスマスターズを、世に広めるべく尽力しています。

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