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マネジメントとは?|意味と役割・経営と現場での違いを解説

「マネジメントとは何か?」

管理職に任命された時、現在のマネジメントに課題を感じた時、この問いに立ち返る方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事内では、マネジメントを「組織が成果を出せる状態をつくる役割・機能」と定義し、経営レベルと現場レベルにおける役割の違いを整理したうえで、教育設計について提言します。本記事が、自社や自身のマネジメントのあり方を内省する際や、管理職研修を考える際の一助となれば幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.マネジメントとは
  2. 2.経営と現場におけるマネジメントの役割の違い
    1. 2.1.経営レベルのマネジメント(経営層の役割)
    2. 2.2.現場レベルのマネジメント(管理職の役割)
  3. 3.マネジメントの状態を確認する
    1. 3.1.マネジメントが機能不全に陥る時
  4. 4.マネジメントとリーダーシップ、プレイヤーとの違い
  5. 5.階層別研修の導入・設計時のポイント
  6. 6.まとめ
  7. 7.FAQ
  8. 8.MBK Wellnessの関連サービス

マネジメントとは

「マネジメント(management)」という言葉は、文脈によって指す範囲や意味するところがブレやすい用語です。

マネジメントの意味を整理するために語源や定義にさかのぼると、「マネジメント」はラテン語の「manus(手)」に由来するとされ、オックスフォード現代英英辞典では「control and organization(of a business etc.) / all those who control a business, enterprise, etc. / skill in dealing with people」、広辞苑では①管理・処理・経営、②経営者・経営陣と記載されています。

このように、管理行為を指す場合もあれば、経営層そのものを指す場合もあり、「マネジメント」という言葉だけでは、聞き手・話し手次第で、使い方や意味にブレが生じることが多そうです。

「経営の父」と言われるピーター・ドラッカーは、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と整理しました。この考え方に立つと、マネジメントは「人やチームを監督する立場」ではなく、「組織が成果を出せる状態をつくる役割」と理解できます。

経営と現場におけるマネジメントの役割の違い

マネジメントは、経営レベルと現場レベルで、担う役割・機能が異なります。違いを整理すると以下の通りです。

  • 経営レベルのマネジメント: 成果が出続けるように、組織全体の「仕組みを整える」
  • 現場レベルのマネジメント: 日々の業務の中で、その「仕組みを機能させる」

経営レベルのマネジメント(経営層の役割)

経営におけるマネジメントとは、

  • どのような構造であれば、戦略が実行され続けるのか
  • どのような仕組みであれば、人材が育ち続けるのか

を設計し、機能させる営みです。

もう少し具体的に言い換えると次のようになります。

  • 戦略を、事業計画・優先順位・資源配分に落とし込む
  • 権限と責任の配分を設計し、意思決定が滞らない構造をつくる
  • 経営的判断と成果の判断基準を整え、組織に共有する(例:投資判断、品質基準、許容できるリスクの範囲、安全・コンプライアンスをどう扱うか など)
  • 評価・制度・運用の枠組みを整え、育成や配置が“場当たり的”にならない状態をつくる

属人的な判断や偶発的な成功に依存せず、組織として成果を出し続ける基盤をつくる。それが、経営におけるマネジメントの役割です。

現場レベルのマネジメント(管理職の役割)

経営層が組織全体の仕組みを整えるのに対し、現場の管理職は、日々の業務の中でその仕組みを機能させる役割を担います。

現場におけるマネジメントを分解すると、主に次の4つに分類できます。

  • 目標設定:何を成果とするかを明確にし、優先順位を示す
  • 進捗管理:状況を把握し、遅れや課題があれば手を打つ
  • 意思決定:現場の迷いを減らし、判断と調整を行う
  • 部下育成:任せ方を設計し、成長機会をつくる

重要なのは、これらが「成果が出る状態」を作るための一連のプロセスとして設計されていることです。たとえば、目標が掲げられていても業務プロセスと整合していなければ成果にはつながりません。逆に業務が設計されていても、メンバーの役割や能力と適合していなければ機能しません。目標を分解し、役割を定義し、進捗を確認し、必要に応じて判断と調整を行うことで、現場が成果を出せる状態をつくるのが管理職の役割です。

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マネジメントの状態を確認する

本章では、自社や自身のマネジメントについて確認するためのチェックリストとして、1つの例をご紹介します。

経営レベルのマネジメント(経営層の役割)に関するチェックリスト

□ 戦略は組織の構造の中に落とし込まれているか
 戦略は掲げられているものの、組織設計・権限設計・資源配分に反映されていない場合、実行は偶発的になります。

□ 判断基準は言語化されているか
 何を優先するのか、どこまでリスクを取るのか、投資の基準は何か。経営の判断軸が明確でなければ、意思決定は属人的になります。

□ 評価制度は戦略と整合しているか
 評価制度は、経営のメッセージそのものです。戦略と評価が不整合であれば、現場の行動は必ずぶれます。

□ 権限と責任は明確か
 承認プロセスが過度に集中・停滞していないか。責任の所在が曖昧になっていないか。意思決定の速度は、権限設計の質に依存します。

□成果は再現可能か
 特定の経営幹部やキーパーソンに依存していないか。仕組みとして速やかに再現・横展開できる状態になっていることが重要です。

現場レベルのマネジメント(管理職の役割)に関するチェックリスト

□ 目標は具体的で優先順位が明確か
 目標が抽象的であったり、優先順位が曖昧な場合、現場は迷います。

□ 進捗は構造的に管理されているか
 属人的なフォローではなく、仕組みとして進捗確認が設計されているか。

□意思決定は現場で完結できているか
 判断基準が共有されていれば、現場で決められることが増えます。過度な上申はマネジメント不全の兆候です。

□部下育成は計画的か
 偶発的なOJTに頼っていないか。育成機会が設計されているかがポイントです。

□ プレイヤー依存になっていないか
 管理職自身が成果を出し続けなければ回らない状態は、マネジメントが機能しているとは言えません。

マネジメントが機能不全に陥る時

経営レベルと現場レベルの両方でチェックした結果、課題が見える場合、その多くは「構造」に原因があります。例えば、

■ 戦略と制度の分断

戦略では「顧客価値向上」「品質重視」「中長期投資」と掲げているにもかかわらず、評価制度は「短期売上」や「目先の数字」だけを重視しているケースがあります。現場は戦略ではなく「評価基準」に従って行動します。

【製造業の例】
品質重視を掲げているにもかかわらず、現場では生産数量のみが評価対象となっている。その結果、不具合の早期共有や改善提案が後回しになり、長期的な品質向上につながらない。

【IT・スタートアップの例】
中長期プロダクト戦略を掲げながら、四半期KPIのみで評価するため、短期機能追加が優先され、技術的負債が蓄積する。

■ 権限設計の曖昧さ

意思決定の所在が曖昧な組織では、責任が分散し、スピードが低下します。

【大企業・本社機能の例】
現場判断で進められる案件まで本社承認が必要となり、顧客対応が遅れる。現場の行動が消極的になる。

【中堅企業の例】
責任範囲が明確でないため、問題発生時に「誰が決めるのか」が曖昧になり、会議だけが増えていく。

■ 共通言語の不在

マネジメントに関する定義や基準が共有されていない場合、各管理職が独自のやり方で運営します。

【サービス業の例】
店舗ごとに「顧客満足」の定義が異なり、接客基準や育成方法が統一されない。

【医療・専門職組織の例】
専門性が高いがゆえに、マネジメントの考え方が共有されず、部門ごとのローカルルールで運営される。

■ プレイヤー偏重の評価文化

成果を「個人の営業成績」や「個人の技術力」だけで評価する文化では、マネジメント機能は育ちません。

【営業組織の例】
トップ営業が管理職に昇進するが、チーム育成より自分の案件に時間を使ってしまう。結果として、チームの成果が安定しない。

【専門職組織の例】
技術力の高さだけで昇格が決まり、育成や組織設計の能力が評価されない。

■ 育成の仕組みがない、あるいは偏っている

マネジメント育成が体系化されていない場合、属人的な経験に依存します。

【新任管理職の例】
昇進後すぐにチームを任されるが、目標設定や評価や面談の方法を学ぶ機会がない。

【一部職種だけ研修がある例】
営業職には研修があるが、管理部門にはない。その結果、部門間でマネジメントの質に差が生じる。リーダー人材が育ちにくい。

加えて、マネジメントの問題を「管理職の力量不足」として片づけてしまうと、

・管理職の疲弊
・現場の不信感
・成果の不安定化

を招きます。マネジメントが機能不全に陥る時こそ「構造」を確認する視点が求められます。

マネジメントとリーダーシップ、プレイヤーとの違い

マネジメントとリーダーシップは、役割の異なる概念です。

広辞苑では、リーダーシップを①指導者としての地位または任務、指導権、②指導者としての資質・能力・力量、統率力、と定義しています。オックスフォード現代英英辞典ではLeadershipは「being a leader / ability to be a leader / group of leaders」と説明され、Leaderは「person or thing that leads / principle first」、Lead(動詞)は「show (sb) the way, especially by going in front / guide or take (sb/sth) by holding, pulling etc」と記載されています。

リーダーシップを「方向性を示し、人を動かす役割」とするならば、マネジメントは「整える力」、リーダーシップは「動かす力」と表現すると、その違いがより分かりやすいかもしれません。

リーダーシップがなければ、組織は前に進む方向を見失います。マネジメントがなければ、方向が示されても実行が続きません。よくある誤解として、「マネジメントは上司の仕事」「リーダーシップは個人の能力や才能」といった捉え方があります。しかし実際には、どちらも役割であり、学ぶことができる、必要なスキルがあります。

たとえば、昇進・昇格・配置転換を受けた社員に十分な教育や指導がないまま現場で業務が進むと、管理職がマネジメントもリーダーシップも一手に抱え込み、プレイングマネジャー化しやすくなったり、疲弊したりしてしまいます。部下育成や意思決定が個人の力量に左右される、といったリスクもあります。

変化の時代において必要なのは、どちらか一方ではなく、両者のバランスです。マネジメントとリーダーシップを、状況に応じて行き来できる統合的な力が必要です。そして、それは、スキルとして学び、磨くことができるものであり、経営層、管理職、リーダーだけが持つべきものではなく、実はすべての社員が学び、自分の業務の中で発揮していくべきものなのです。

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リーダーシップのスタイルには様々なものがあります。リーダーシップ論については、以下の記事の中でご紹介していますので参考にしていただければと思います。

プレイヤーとの違い

プレイヤーは、自らの専門性や実行力によって直接的に成果を生み出します。一方で、マネジメントは、他者や組織の活動を通じて成果が生まれる状態を整える役割です。自分が手を動かすほうが早い場面であっても、あえて役割を委ね、全体最適を優先する判断が求められることもある、ということです。このように、マネジメントを現場で機能させるうえで、多くの企業や個人が苦労するのがプレイヤーからマネジメントという立場・役割への「視点と行動の転換」です。


プレイヤーからマネジメントという立場・役割への「視点と行動の転換」

  • 成果の出し方:自分が出す成果から、チームが出す成果へ
  • 責任の持ち方:自分の担当範囲から、チームの成果が出る状態づくりへ

プレイヤーからマネジャーへと役割が変わる際に押さえるべき5つの視点については、以下の記事で詳しく整理していますので、ぜひ参考にしてください。

階層別研修の導入・設計時のポイント

特に階層別研修が導入されていない企業では、管理職に昇進した後、「やりながら覚えてほしい」「現場で学んでほしい」と期待されるケースが少なくありません。しかし、マネジメントの全体像や考え方を体系的に学ぶ機会がなければ、管理職は過去の成功体験や自己流に頼らざるを得ません。その結果、組織としてのマネジメントの質にばらつきが生じ、育成や意思決定の一貫性が保ちにくくなります。

社員がマネジメントをスキルとして段階的に身に付けていくために、企業が取り組めることは大きく三つあります。

① 定義と役割を明確にし、共通言語を形成する

マネジメントとは何か、現場レベルと経営レベルで何が求められるのか、リーダーシップとの違いは何か。階層別研修に近い形で、こうした内容について学習する機会を提供することによって、基本的な理解が揃い、育成の軸がぶれにくくなります。

② 自律的に学べる、体系的な学習機会を用意する

集合研修だけでなく、映像コンテンツやeラーニングを組み合わせることで、忙しい中でも継続的に学ぶことができます。単発の研修で完結させてしまうのではなく、振り返りや実践と結びつける設計が、共通言語の形成と成長を促進します。

③ 学習と実践を接続する仕組みをつくる

目標設定や評価制度、会議運営、1on1などの場面で、学んだ知識・スキルを活用しやすい学習設計にすることで、実際に使える力として、知機・スキルが定着していきます。

具体的な研修プログラムや事例については以下の記事でご紹介していますのでご高覧ください。

まとめ

本記事では、マネジメントを「組織が成果を出せる状態をつくる役割」として整理し、経営レベルと現場レベルの違いについて整理しました。

自社におけるマネジメントの定義を明確にし、学びの機会を設け、実践と結びつけることで、はじめて組織の力として機能します。

本記事が、自社や自身のマネジメントのあり方を見直すきっかけとなり、管理職育成の設計について改めて考える一助となれば幸いです。

ディスカッションパートナーが必要な際には、ぜひ、知識と経験豊富な当社コンサルタントに、どうぞお気軽にお声がけください。

FAQ

Q1. マネジメントとは簡単に言うと何ですか?

A.マネジメントとは、組織が成果を出せる状態をつくるための機能や役割を指します。単に人を管理することではなく、目標設定、意思決定、進捗管理、人材育成などを通じて、成果が再現される仕組みを整えることが本質です。

Q2. マネジメントとリーダーシップの違いは何ですか?

A.リーダーシップは方向性を示し、人を動かす力です。リーダーシップが「動かす力」だとすれば、マネジメントは「整える力」と整理できます。両者は対立概念ではなく、補完関係にあります。

Q3. 管理職とマネジメントは同じ意味ですか?

A.管理職は役職や立場を指しますが、マネジメントは機能や役割を指します。管理職でなくても、プロジェクトやチームを任されればマネジメント機能を担うことがあります。重要なのは肩書きではなく、成果が出る状態を設計しているかどうかです。

Q4. マネジメントが機能していない組織にはどのような特徴がありますか?

A.マネジメントが機能していない組織には、いくつか共通する特徴があります。

・戦略が掲げられているが、現場の行動に落ちていない
・意思決定が遅く、承認プロセスが複雑化している
・管理職がプレイヤー業務に追われ、育成が後回しになっている
・評価制度と実際に求められている行動が一致していない
・特定のキーパーソンに依存して成果が出ている

これらは個人の能力の問題というより、マネジメント構造の問題である場合が多いといえます。

Q5. マネジメントは経験すれば自然に身につきますか?

A.経験だけで自然に身につくとは限りません。マネジメントは感覚や属人性に依存するものではなく、定義を理解し、学び、実践を通じて磨いていくスキルです。組織として共通言語を整え、体系的に育成することが重要です。

MBK Wellnessの関連サービス

■本記事の監修者■

ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
教授システム学修士であり、eラーニングシニアコンサルタントであるデジタルラーニング事業部門長 花木喜英率いるビジネスマスターズ・マーケティングチーム。企業研修登壇実績10年以上・年間100本以上をこなすサイコム・ブレインズ/プログラムディレクター 小西功二とメンバー3名で、企業とビジネスパーソン双方が利を得る教材開発をコンセプトに、学術理論を徹底研究し開発されたビジネスマスターズを、世に広めるべく尽力しています。

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