
ビジネスマナーはなぜ必要? 若手が学ぶべき5つの理由
新入社員や若手社員からしばしば聞かれるのが、「ビジネスマナーは形式的で、実務成果には直結しないのでは?」という疑問です。しかし、上場企業を中心に人材・組織開発支援を行う立場から申し上げますと、ビジネスマナーは“成果を出すための土台”であり、信頼獲得や社内外での協働を支える重要なスキルです。厚生労働省の「能力開発基本調査」や独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の若年者調査などからも、基礎スキルや職場適応と定着・活躍との関連が示されています。
本稿では、若手がビジネスマナーを学ぶべき5つの理由を整理しつつ、当社サイコム・ブレインズの研修・映像講座(ビジネスマスターズ®)をどう活用できるかもあわせてご紹介します。
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ビジネスマナーは「信頼の初期値」を作る
ここでは、ビジネスマナーが若手社員の「初期信頼」をどう左右するかを整理します。第一印象と信用残高という2つの観点から考え、サイコム・ブレインズの新入社員・若手向け映像講座をどう使うかも示します。
第一印象が業務速度を左右する
第一印象は数秒で決まり、その後の評価に大きな影響を与えると言われます。ビジネスの場合であれば、初対面の相手は「この人に仕事を任せて大丈夫か」という観点から見ています。挨拶・名刺交換・資料の渡し方・オンライン会議の入り方といった基本動作が整っていれば、「段取りが良さそうだ」という印象が形成され、以降のコミュニケーションがスムーズになります。逆にここでつまずくと、相手は無意識に説明を“丁寧にしすぎるモード”に切り替え、業務速度が低下しがちです。
サイコム・ブレインズの映像講座「ビジネスマナーを身につけよう」では、第一印象や接遇5原則(表情・態度・身だしなみ・挨拶・言葉づかい)を、講師の実演を交えて学べるため、初期印象づくりの“型”を短時間で身につけさせることができます。
若手の“信用残高”を底上げする振る舞いと
若手社員は経験が浅く、最初は「成果」よりも「この人は任せても安心か」という信用判断で見られがちです。ここで効いてくるのが、挨拶・報連相・メール文面の基本品質など、日々の小さな振る舞いの一貫性です。厚生労働省の「能力開発基本調査」によると、OFF-JTを受講した労働者の割合は37.0%で、そのうち正社員が44.6%、正社員以外は18.4%と差があり、企業が育成機会をどれだけ提供しているかが行動の質に影響している可能性が示唆されます。
サイコム・ブレインズの映像講座「企業人マインド」「若手社員のための結果に差が出る仕事力講座」などを組み合わせることで、マナーとマインドを同時に強化し、「任せても安心」と思われる土台づくりを体系的に行うことができます。
▶図1:信頼形成のメカニズム(例)

(図1参照)
信頼は初期印象と日々の行動が相互作用してその先に形成される。マナー教育はこれらを加速させる投資である。
実務への落とし込み
入社直後に、対面+映像講座で「第一印象の型」を集中インプットする設計が有効です。
コミュニケーションの認識ズレを防ぐ
この章では、ビジネスマナーが組織内コミュニケーションの認識ズレをどう抑えるかを扱います。共通言語化と典型的なすれ違いパターンを押さえたうえで、研修や映像講座による補強の仕方を考えます。
言葉・態度・ルールの“共通言語化”
ビジネスの現場では、部門・世代・雇用形態の異なるメンバーが協働します。そのため、行動の基準となる“共通言語”が必要です。敬語、メールの構造、会議の入り方、オンライン会議のマナーなどが整っていれば、言葉の受け取り違いや期待のズレが減り、業務の標準化が進みます。
総務省の「情報通信白書」では、デジタル技術が企業活動の前提となる社会基盤として定着していることが示されています。オンラインによるコミュニケーションの普及について明確な数値は提示されていないものの、社会全体のデジタル化が進む中、企業としてもデジタル環境に対応したコミュニケーション設計が求められていると言えます。
サイコム・ブレインズでは、ロジカルコミュニケーションなどのプログラムを通じて、「伝え方・関わり方」の共通言語を整える支援が可能です。
すれ違いの典型パターンと予防策
認識ズレは、多くの場合“小さな行動のブレ”から始まります。例えば、
- 会議前に資料を共有していない
- メールの件名・本文に結論が書かれていない
- 依頼の期限や優先度が示されていない
といったケースです。これらはマナー基礎が整っていれば予防可能です。
サイコム・ブレインズの映像講座「ビジネスマナーを身につけよう」「ビジネス英文Eメール講座」などの映像講座を用いれば、日本語・英語双方でのメールやオンラインコミュニケーションの“型”を揃えられます。さらに、アサーティブ/ロジカルコミュニケーション研修を組み合わせることで、「結論→理由→依頼」の構造化された伝え方をロールプレイで定着させることができます。
▶表1:若手に多いコミュニケーションのズレ例
ズレの例 | 解説 |
|---|---|
依頼期限の曖昧さ | 期限が不明だと優先度が共有されず、遅延が発生する |
結論の遅い説明 | 相手の理解負荷が高まり、誤解・聞き直しが増える |
事前共有の不足 | 会議の生産性が落ち、追加説明や再会議が必要になる |
(表1参照)
若手が陥りやすい典型的なコミュニケーションズレ。マナー+コミュニケーション研修で多くは予防できる。
実務への落とし込み
“NGなメール例”を自社版ケースに落とし込み、映像講座+集合研修でセット学習するのが効果的です。
業務品質と再現性を高める
この章では、ビジネスマナーが業務品質の安定化と、属人的でない再現性の高い仕事の進め方にどう貢献するかを解説します。公的データと、サイコム・ブレインズの映像講座活用を絡めて整理します。
マナーが作る「判断と行動の基準」
ビジネスマナーは、単なる礼儀作法ではなく「判断基準の補助線」として機能します。報告のタイミング、依頼への返答速度、相手の立場を踏まえた言葉遣いといった点は、状況判断に直結するスキルです。
令和6年度「能力開発基本調査」によると、計画的なOJTを正社員に実施した事業所は61.1%、正社員以外には27.1%であり、組織として行動基準を整備し、計画的に育成しているかどうかで差が生まれていることが分かります。
サイコム・ブレインズの映像講座「自律的にPDCAサイクルを回す仕事の進め方」「即学 ロジカルシンキング」といった講座を組み合わせることで、マナーを起点とした“仕事の進め方の基準”を映像で繰り返し学習させることができます。
若手がつまずきやすい業務品質低下ポイント
業務品質の低下は、実は作業そのもののミスではなく「周辺行動」のズレから生じることが多いです。指示の読み違い、確認不足、共有の遅れ――といった要因が重なり、手戻りやクレームにつながります。
これらは「依頼を受けたら即リアクション」「事実と解釈を分けて伝える」「確認質問を1つは返す」といった行動ルールを持つことで予防できます。研修では、ビジネスマスターズ®のドラマ仕立てのケース教材で“よくある失敗パターン”を視覚的に理解させ、その後のワークショップで「自社の現場に置き換えるとどこで起きるか」を議論する、という構成が有効です。
▶図2:業務品質を下げる典型パターン

(図2参照)
業務品質低下は“指示の理解不足”による“解釈のズレ”から始まる。マナーと仕事の進め方の型をセットで教えることが予防線になる。
実務への落とし込み
ビジネスマナー研修と映像講座をセット化し、行動基準の一貫性を高めましょう。
社内外の協働を円滑にする
この章では、社内の他部門・社外の顧客やパートナーとの協働に、ビジネスマナーがどのように効くかを整理します。オンライン/対面の両面から、サイコム・ブレインズのプログラム例も絡めて考えます。
マナーは“他部門コラボ”の潤滑油
大企業を中心に、プロジェクトの成功が他部門との連携にかかっているケースも多いでしょう。しかし、部門ごとに文化・優先順位が違うため、摩擦や“お願いしづらさ”が生まれがちです。
IPAの「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」では、変化の激しい時代に対応するためには、自律的に学ぶ個人と、それを支える企業の環境整備の両輪が重要であると指摘されています。その意味で、他部門協働に必要なマナーとコミュニケーションを体系的に学ぶ機会を用意することは、組織文化への投資といえます。
サイコム・ブレインズでは、チームビルディングアクティビティ「スーツケースミステリー」やコミュニケーション研修と組み合わせて、“他部門と建設的にやりとりできる若手”を育成するプログラム設計が可能です。
社外との関係に効くポイント
社外の顧客・パートナーとのやりとりでは、社内以上にミスの許容範囲が狭くなります。メールの敬称、応答スピード、会議準備、遅刻・変更時の連絡など、基本的なマナーのブレが、そのまま企業評価に直結します。
サイコム・ブレインズの「ビジネスマナーを身につけよう」では、訪問・来客対応、電話応対、名刺交換、メールなどの一連のマナーを動画で学べるため、社外接点に出る前に“最低限のライン”を揃えることができます。さらに、ビジネス英文Eメールやグローバル人材育成プログラムと連動させれば、海外拠点や外国籍メンバーとのコミュニケーションまでを視野に入れた設計ができます。
▶表2:社内外の協働を促進するマナー行動
行動 | 解説 |
|---|---|
事前共有の徹底 | 会議目的・資料・ゴールを事前共有し、相手の準備負荷を下げる |
依頼の構造化 | 結論・背景・期限を明確に伝え、優先順位の誤解を防ぐ |
議事録の質向上 | 決定事項とToDoを整理し、認識のズレと抜け漏れを減らす |
(表2参照)
社内外の協働に効く基本行動。マナー研修やコミュニケーション研修で「型」として定義すると実践しやすくなる。
実務への落とし込み
部門横断プロジェクトのキックオフ時に、サイコム・ブレインズの映像講座+集合研修で「協働のマナー基準」を揃えると効果的です。
長期的なキャリア形成を支える
この章では、ビジネスマナーが若手社員の中長期のキャリア形成にどう関わるかを整理します。
評価・昇格で差がつく「非言語のふるまい」
評価の場では、成果だけでなく“周囲にどう影響を与えているか”という非言語要素も見られます。会議での聞き方、姿勢、言葉遣い、レスポンスの速さなど、マナーに近い要素が「信頼できる・任せられる人かどうか」の判断材料になります。
JILPTの若年者調査では、初職の経験とその後の離職状況において、職場での人間関係やサポートのあり方などが定着に影響することが指摘されています。ビジネスマナーは、こうした人間関係を円滑にし、信頼されるふるまいを支える基礎といえます。
サイコム・ブレインズの「セルフリーダーシップ研修」やキャリア開発研修と組み合わせれば、マナーを“自分のキャリアを自らデザインする力”と接続して伝えられます。
管理職が求める“育てやすい若手像”
管理職は、若手に「伸びしろ」と「育てやすさ」を求めています。具体的には、
- 指摘を素直に受け取り行動を変えられること
- 周囲への配慮があり、トラブルを自ら大きくしないこと
- 報連相が安定していて、状況が読みやすいこと
といった要素です。これらは多くがマナーに紐づいた行動といえます。
経済産業省の「未来人材ビジョン」では、変化の大きい時代において、自ら学び続ける姿勢と、他者と協働する力を持った人材が求められるとされています。サイコム・ブレインズの新入社員・若手向け映像講座では、まさに「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった社会人基礎力を段階的に育成できる設計となっており、管理職側から見て“育てやすい若手”を増やす手段として活用できます。
▶図3:キャリア形成に影響する非言語要素

(図3参照)
キャリアが進むほど非言語・マナーの比重が増す。若手の段階でマナーを習得しておくことが、将来の選択肢を広げる。
実務への落とし込み
等級定義や評価項目に「マナー・非言語」の期待値を明示し、研修と人事制度を連動させると効果的です。
マナー習得の組織的メリット
最後に、マナー習得が個人ではなく組織全体にもたらすメリットを整理します。教育コスト、属人化防止、ブランド一貫性などの観点から、サイコム・ブレインズのソリューションとの連携も含めて考えます。
教育コスト削減と属人化の防止
マナー基準が組織内で標準化されていれば、育成負荷は大きく下がります。厚生労働省の調査では、教育訓練費用を支出した企業は54.9%、計画的なOJTを実施した事業所は6割程度とされており、体系的な育成に投資している企業とそうでない企業の差が見られます。
サイコム・ブレインズのビジネスマスターズ®映像講座は、ビジネスマナーから思考系・コミュニケーション・時事トピックまで幅広く揃っており、「動画+集合研修」「動画+企業内大学」といった形で、標準カリキュラムを比較的低コストで整備することができます。映像講座コンサルティングのメニューを活用すれば、到達レベル設定から教材選定、テスト設計までトータルで支援を受けることも可能です。
企業ブランドの一貫性確保
顧客から見た企業の印象は、社員一人ひとりのふるまいの総和です。メールの返信一つ、会議の進め方一つがブランド体験となり、「この会社は信頼できるか」の判断材料になります。IPAの調査でも、個人の自律的な学びと企業側の環境整備が、企業・組織の競争力維持に不可欠であると指摘されています。
サイコム・ブレインズは、研修・映像講座・アセスメントを組み合わせて「学び続ける人と組織のためのラーニングエクスペリエンス」をデザインすることを掲げており、階層・テーマを横断したマナー・コミュニケーションの共通言語化を支援できます。こうした「マナーを含む行動基準の共通化」は、企業ブランドの一貫性を担保するうえで重要な仕組みと言えるでしょう。
▶表3:組織にとってのマナー教育のメリット
メリット | 解説 |
|---|---|
育成スピード向上 | 標準カリキュラムにより、誰が教えても一定水準を担保できる |
顧客接点の品質向上 | 社員のふるまいが揃い、企業としての信頼感が高まる |
社内コミュニケーション改善 | 認識ズレが減り、部門間連携やプロジェクト推進が円滑になる |
(表3参照)
マナー教育はコストではなく投資。映像講座・集合研修・アセスメントを組み合わせることで、組織機能の底上げにつながる。
実務への落とし込み
自社の「行動ハンドブック」をサイコム・ブレインズと共同設計し、映像講座と紐づけて運用すると効果的です。
まとめ
ビジネスマナーは、若手社員にとって単なる“礼儀”ではなく、信頼形成・コミュニケーション・業務品質・協働・キャリア・組織力の6つの観点で、大きな影響を持つ実務スキルです。厚生労働省やJILPT、IPA、経産省など公的機関の調査からも、基礎スキルや学び続ける姿勢、職場適応のあり方が、企業の競争力や若手の定着に関わることが示唆されています。
サイコム・ブレインズでは、新入社員・若手向けビジネスマスターズ®映像講座と、集合研修・アセスメントを組み合わせることで、「マナーを起点とした社会人基礎力の育成」を設計できます。研修担当としては、単発のマナー研修で終わらせるのではなく、入社前後〜3年目までの成長プロセスの中にマナー学習を位置づけ、継続的なインプット・アウトプットの仕組みをつくることが重要です。詳細なプログラムや事例は、サイコム・ブレインズのサイト資料やお問い合わせからご相談ください。
FAQ
Q1:ビジネスマナーはオンラインでも必要ですか?
必要です。オンラインでは非言語情報が減るため、「声の出し方」「チャットでの補足」「画面共有の順序」など、マナーを含む“場の設計力”が求められます。
Q2:マナーを覚えるのが苦手な社員にはどうサポートすべき?
ルールの暗記ではなく、「なぜそれが相手の信頼・安心につながるのか」を理解させることがカギです。ドラマ仕立ての映像講座で“悪い例・良い例”を見せたうえで、集合研修で自分ごととして言語化させると、負担感を減らしつつ定着を促せます。ビジネスマスターズ®はこの組み立てに向いたコンテンツが豊富です。
Q3:マナー教育はOJTだけでも成り立ちますか?
OJTだけですと「教える人によって基準がバラバラ」という問題が起きがちです。厚労省調査でも、計画的なOJTやOFF-JTの有無が企業間で差があることが指摘されています。サイコム・ブレインズの標準カリキュラムや映像講座を使えば、OJTの前提となる共通基準を整えたうえで、現場での指導につなげられます。
Q4:社外対応のマナーを特に強化したい場合のポイントは?
「遅刻・変更時の連絡」「メールの返信期限」「資料送付のタイミング」など、社外で問題になりやすいポイントを、ケースベースで洗い出すことが第一歩です。そのうえで、ビジネスマナー映像+営業・プレゼン研修を組み合わせて“社外対応パッケージ”を作ると、現場にとっても運用しやすい仕組みになります。
Q5:マナー教育を研修で終わらせず定着させるには?
研修後に、行動指標(チェックリスト)と映像講座を紐づけ、「気になったときにすぐ振り返れる状態」をつくることが重要です。例えば、1on1や評価面談でマナーに関するフィードバックが出た際、「このテーマはビジネスマスターズ®の〇〇講座を見ておきましょう」といった運用ができると、定着サイクルが回り始めます。
参照・出典
- 厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』の結果を公表します」(2025年6月27日公表)
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)「若年者の初職における経験と若年正社員の離職状況―第3回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」(調査シリーズNo.250、2025年3月)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/documents/250.pdf - 情報処理推進機構(IPA)「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023・2024年度)」
https://www.ipa.go.jp/jinzai/chousa/skill-henkaku2024.html
サイコム・ブレインズの研修・デジタルラーニングサービス
サイコム・ブレインズでは、ビジネスマナーを“成果を出すための土台”として学び、実務成果に結びつけられるような、様々な研修、デジタルラーニングサービス(eラーニング、映像講座など)をご用意しております。
●カスタマイズ型の研修プログラム
●ビジネス研修動画 定額見放題で、学びたい!を刺激する『Business Masters』
●相互学習で学習定着と行動変容を促すプログラム『まなラン』
●自律的で実践的な学びの成果をスピーディにアウトプット『コースウエア』
●グローバルなスケールで実施できるアセスメント



