
【セミナーレポート】コーポレートガバナンス強化時代の役員研修とは? ──取締役会の実効性と“モニタリングボード”への進化
2026年2月26日、公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)とMBK Wellness株式会社によるオンラインセミナー「ガバナンスの強化と役員研修のあり方~取締役会の役割は『意思決定』から『指導・監督』へ~」が開催されました。
コーポレートガバナンス・コードの改訂を背景に、取締役会に求められる役割は大きく変化しています。
本セミナーでは、その機能転換の本質とともに、取締役会の実効性を支える役員教育のあり方、さらに具体的な学習手段としての独学教材「コースウエア:コーポレート・ガバナンスシリーズ」について紹介されました。
要点サマリー
- 取締役会は「意思決定機関」から、執行を監督・指導する「モニタリングボード」へと進化している
- ガバナンスの実効性を左右するのは制度ではなく“人”の質である
- 役員教育は取締役会の責務であり、実効性評価の基盤でもある
- 体系的な学習機会の整備がガバナンス強化の鍵となる
- 具体策として「コースウエア:コーポレート・ガバナンスシリーズ」が紹介された
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目次[非表示]
なぜ今、取締役会の「実効性」が問われるのか
2015年のコーポレートガバナンス・コード策定以降、2018年・2021年と改訂が重ねられ、取締役会の構成や役割は大きく変化してきました。
- 取締役会の多様性強化
- プライム市場における社外取締役比率3分の1以上
- 人的資本やサステナビリティへの対応強化
これらの制度的進化は、取締役会のあり方そのものを変えています。
かつての取締役会は、重要案件を承認する「意思決定の場」として機能してきました。しかし、現在求められているのは、執行の判断を追認することではありません。
戦略の妥当性やリスクテイクの適切性を問い続けること。
必要に応じて助言・牽制を行うこと。
つまり、意思決定の主体から、執行を監督し方向づける存在へと軸足が移っているのです。
西田氏はこの変化を「モニタリングボードへの進化」と表現しました。
求められるのは“役員力”の進化
取締役会がモニタリング機能を担う以上、問われるのは取締役一人ひとりの力量です。
西田氏は、以下の知識を必須要件として挙げました。
- 会社法
- 金融商品取引法
- 財務諸表分析
- ファイナンス
- 企業戦略
企業価値を評価する力がなければ、企業価値向上を監督することはできません。
しかし、知識だけでは十分ではありません。
モニタリングボードとしての機能を果たすためには、次のような姿勢や思考様式が求められます。
- 「言うべきことを言う」姿勢
- 株主視点に立つ独立性
- クリティカル・シンキング
- リスクに対する感度
取締役会は上下関係の場ではなく、企業全体の価値向上を目的とする議論の場です。
その質を左右するのは、制度ではなく“人”の在り方なのです。
役員教育は取締役会の責務である
質疑応答の中で、「役員教育は誰の責任か」という問いが投げかけられました。
西田氏の回答は明確でした。
「取締役会の責任です。」
コーポレートガバナンス・コードでは、役員に対するトレーニング方針の策定と開示が求められています。つまり、役員教育は任意ではなく、ガバナンス体制の一部として位置付けられているのです。
また、コードでは「取締役会の実効性評価」の実施も求められています。
取締役が十分に発言できているか、独立した立場から監督機能を果たせているかを継続的に検証することが前提となります。
役員教育は、こうした実効性評価の土台を支える取り組みでもあります。
属人的な自己研鑽に委ねるのではなく、組織として学習機会を設計することが、ガバナンス強化の出発点なのです。
体系的に学ぶ仕組みとしての「コースウエア:コーポレート・ガバナンスシリーズ」
MBK Wellness株式会社 サイコム・ブレインズ事業本部 デジタルラーニング事業部 副部長の小西 功二氏は、役員教育を仕組みとして実装する具体策として、「コースウエア:コーポレート・ガバナンスシリーズ」を紹介しました。
本シリーズは、以下の4コースで構成されています。
- コーポレート・ガバナンス【基礎編】
- コーポレート・ガバナンス【実践編】
- 会社法
- 金融商品取引法
動画・テキスト・理解度テストを組み合わせたハイブリッド型設計により、基礎理解から実務適用までを体系的にカバーします。
特に、新任取締役のオンボーディング、取締役会メンバー間の共通言語形成、役員トレーニング方針開示への対応といった用途で活用できる設計となっています。
学習期間は3か月。1ID:80,000円(税別)で提供されており、役員層が自律的に学習を進められる環境が整えられています。
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まとめ
取締役会は今、「意思決定の場」から「企業価値を監督する場」へと進化しています。
その実効性を左右するのは、制度の整備だけではありません。
取締役一人ひとりの知識と姿勢、すなわち“役員力”です。
役員教育は個人の努力に委ねるものではなく、取締役会の責務として設計されるべきテーマです。体系的な学習機会の整備は、ガバナンス強化の基盤となります。
取締役会の実効性向上に向けた役員教育をご検討の企業様は、ぜひお問い合わせください。



