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【セミナー開催レポート】講座卒業生が語る、‟自分のまま“でリーダーになるまでの道のり――現場で活躍する女性リーダーは、何に悩み、何を越えたのか

2026年3月19日、MBK Wellness株式会社 サイコム・ブレインズ事業本部は、「講座卒業生が語る、‟自分のまま“でリーダーになるまでの道のり――現場で活躍する女性リーダーは、何に悩み、何を越えたのか」と題したオンラインセミナーを開催しました。

本セミナーでは、MBK Wellness株式会社 サイコム・ブレインズ事業本部 マネジャー/シニアコンサルタント 河上志保氏による講演を皮切りに、『女性のためのリーダーシップ強化プログラム』のメイン講師である太田由紀による進行のもと、2025年度の受講生である、株式会社NTTデータグループ 秘書室 課長代理 荻野郁美氏、日本郵船株式会社 客船事業グループ 客船事業第一チーム 赤木倫子氏を迎えたパネルディスカッションが行われました。

女性活躍推進が進む中で、なぜ女性リーダーは増えないのか。その背景にある構造的課題と、リーダー育成における研修の役割、そして実際の受講者に起きた変化について、多角的に議論が展開されました。

要点サマリー

  • 女性リーダーが増えない要因は制度ではなく「経験機会の差」にある
  • 意思決定やリーダー経験の機会不足が「自信の壁」を生み出している
  • AI時代は「目的設定・意思決定・巻き込み」がリーダーの中核能力となる
  • これらの能力は経験と内省によって育まれる
  • 研修は「安全に試行錯誤できる場」として機能する
  • 受講者は「自分を変える」のではなく「自分のままのリーダーシップ」を確立
  • 講座での学びと職場での実践を繰り返す、行動と振り返りの実践的な学習サイクルが、行動変容につながる

▼セミナー概要ページはこちら

目次[非表示]

  1. 1.女性リーダーが増えない本質的な課題とは何か
  2. 2.「自信の壁」を生む構造と経験機会の格差
  3. 3.AI時代に求められるリーダーシップの再定義
  4. 4.行動変容を促す研修の設計と学びのプロセス
  5. 5.卒業生が語る「自分のまま」リーダーになる変化
  6. 6.まとめ

女性リーダーが増えない本質的な課題とは何か

MBK Wellness株式会社 サイコム・ブレインズ事業本部 マネジャー/シニアコンサルタントであり、『女性のためのリーダーシップ強化プログラム2026』のサブ講師を務める河上は、冒頭、日本企業における女性管理職比率の現状について、「取り組みは進んでいるが、結果が大きく変わっていない点に課題がある」と述べました。

具体的には、女性活躍推進やダイバーシティ施策はこの10年で着実に進展している一方で、女性管理職比率は依然として低水準にとどまっていること、さらに、役職別に見ると、一般社員では女性比率が高い一方で、課長・部長といった管理職層に進む段階で大きく減少する構造を示したうえで、「トップ層の登用以前に、管理職に至るパイプラインの途中で‟必要な経験の機会”が失われている点が本質的な課題である」と指摘しました。

近年は男女ともに管理職志向が低下しており、その背景には「責任の重さ」「業務量の増加」「ワークライフバランス」といった不安が共通して存在しています。そのうえで河上は、女性に特有の傾向として、「自分にはまだ早いのではないか」「務まるだろうか」といった自己効力感の課題、いわゆる“自信を持つことの壁”の存在を挙げました。

このように、制度や環境整備だけでは解消しきれない構造的な課題が、女性リーダー育成の難しさの背景にあることが明らかになりました。

「自信の壁」を生む構造と経験機会の格差

河上は、女性が管理職をためらう背景について、「能力の差ではなく、経験機会の差が自信の差を生んでいる」と述べました。

自信は、小さな成功体験の積み重ねによって形成されます。しかしこれまでの組織では、重要案件や意思決定、プロジェクトをリードするといった機会が、女性に十分に与えられてこなかったケースがあると指摘しました。

その結果として、挑戦の機会そのものに差が生まれ、「打席に立つ回数」の違いが長期的に自信の差として表れる構造が生じている、と指摘します。河上は、「経験の累積が次の挑戦を生み、その連鎖がリーダーシップの発揮につながる」と説明し、「意図的に経験を設計すること」の重要性を強調しました。

くわえて、単に機会を待つのではなく、安全に挑戦し、試行錯誤を繰り返せる場を設けることで、段階的に自信を育てていく必要があること、組織として、どのようにそのような経験機会を提供し、学びと実践の学習サイクルを回していくのか、と提起しました。

河上は、「安全に挑戦できる環境で意思決定や対人対応を練習し、小さな成功体験を積み重ねることが、自信の醸成につながる」と述べ、研修の価値と、その重要性を伝えました。そのような“安心して試せる場”の存在が、キャリアの分岐点において重要な意味を持つことが示されました。

AI時代に求められるリーダーシップの再定義

河上は、今後のリーダーシップを考えるうえで、AIの進展が前提条件を大きく変えていると言います。

情報の整理や分析、定型業務の処理といった領域はAIが担う一方で、人に求められかつ重要性が高まる能力は、「目的を設定する力」「意思決定する力」「人を巻き込みながら進める力」です。河上はこれらについて、「人が経験と内省を通じて育む領域であり、多様な視点や価値観が活きる分野である」と述べました。

この変化は、従来以上に“経験の質”が問われることを意味しています。リーダーシップは知識として理解するだけではなく、実際に意思決定や対人対応を試行錯誤する中で育まれるものだからです。

こうした背景を踏まえ、河上は「だからこそ、経験を安全に積める場としての研修が重要になる」と強調しました。本セミナーで紹介された『女性のためのリーダーシップ強化プログラム』のような研修が、自身の特性理解やリーダーシップスタイルの言語化、意思決定のトレーニングの機会となり、実務に近い形での「経験を積む」機会として機能することが説明されました。

AIが業務の一部を担う時代においては、人が担う役割はより抽象度の高い領域へと移行していきます。こうした変化の中で、経験と内省を通じて自分なりのリーダーシップを確立していくことが、これからのリーダー育成において不可欠であることが伝えられました。

行動変容を促す研修の設計と学びのプロセス

女性のためのリーダーシップ強化プログラム』のメイン講師の太田は、本プログラムの特徴について、「知識のインプットだけでなく、行動と内省、学びと実践を往復する設計にある」と説明しました。

具体的には、2026年7月から開講する『女性のためのリーダーシップ強化プログラム2026』は、第一部の全5回の講座と第二部のフォローアップセッション全3回で構成されています。本講座の第一部では、各回のテーマに基づく学習に加え、現場での実践内容を自ら設定し、次回までに実行するプロセスが組み込まれています。そのうえで太田は、「学びを現場で試し、その結果を振り返るサイクルを回すことが、行動変容につながる」と述べました。

実際に、受講者同士で実践内容を共有し、フィードバックし合うことで、単なる理解にとどまらない定着が促されるようにプログラムが設計されています。

また、ロールプレイによるトレーニングも重要な要素です。意思決定や部下育成、対人コミュニケーションなど、実際に近い場面を想定した演習を通じて試行錯誤を重ねることで、自身の行動パターンを客観視しながらスキルを磨く機会が提供されます。

さらに、本プログラムは、他社の参加者と共に「学び合う」形式である点も特長の1つです。太田は「異なる業界や立場の参加者と対話することで、自身の前提を見直し、多様な視点を取り入れる力が養われる」と述べました。

こうした設計により、受講者は自分自身のリーダーシップスタイルを見出すと同時に、現場での再現性ある実践力につながる、具体的な“自分らしい”行動を模索していくことができます。

卒業生が語る「自分のまま」リーダーになる変化

パネルディスカッションでは、株式会社NTTデータグループ 秘書室 課長代理 荻野郁美氏と、日本郵船株式会社 客船事業グループ 客船事業第一チーム 赤木倫子氏が登壇し、受講を通じた変化が具体的に語られました。

荻野氏は受講前について、「自分は前に立って引っ張るタイプではなく、自分にリーダーが務まるのか、リーダーシップの発揮方法が分からなかった」と振り返りました。一方で受講後は、「リーダーシップにはさまざまな形があり、支えることもリーダーシップの一つであると理解できた」と述べ、自分のスタイルを肯定的に捉えられるようになったと語りました。

また、後輩育成においても、「教えるのではなく、一緒に考える関わり方ができるようになった」と述べ、ロールプレイを通じた実践的な学びが現場での行動変容に結びついていることを示しました。

一方、赤木氏は受講前について、「管理職が現実的に見えてくる中で、漠然とした不安があった」と振り返ります。そのうえで受講後は、「何から始めればよいかが具体的に見え、小さな行動を積み重ねられるようになった」と語りました。実際に、後輩との面談や意思決定の場面で、学びを意識的に活用しているといいます。

さらに両氏は、他社参加者との学び合いの価値についても言及しました。荻野氏は、「異なる業界の価値観に触れることで、自分の前提を見直す機会になった」と述べ、赤木氏も「同世代の女性がそれぞれの立場で挑戦している姿に刺激を受けた」と語りました。

両氏に共通していたのは、「自分を変える」のではなく、「自分の特性を活かしたリーダーシップを見出す」という変化です。両氏の実体験の共有から、多様なリーダーシップの在り方を理解し、自身の特性を活かすことで、自信と行動がつながっていくプロセスが明らかになりました。

▼女性のためのリーダーシップ強化プログラム

まとめ

本セミナーでは、女性リーダー育成の停滞要因が「制度不足」や「個人の能力」ではなく、「経験機会の偏り」にあることが明確に示されました。

また、AI時代において、「リーダーに求められる役割が変化している」ことを指摘したうえで、その役割を担うために必要な能力は「経験と内省」を通じて育まれること、ゆえに、研修は単なる知識習得の場ではなく、「試行錯誤できる場」として機能することが重要であること、さらに、研修が「安全に挑戦し、失敗できる場」であることの「価値」が強調されました。

荻野氏と赤木氏の実体験からは、「自分を変える」のではなく「自分のままでリーダーシップを発揮する」ことが、行動変容と自信醸成の起点となることが語られました。多様なリーダーシップの在り方を認め、それぞれの強みを活かすことが、これからの組織におけるリーダー育成において重要であることが具体的に示されました。

人事・人材開発の観点では、制度整備にとどまらず、個人の意欲や能力に依存するのでもなく、経験機会をどのように設計し、挑戦と内省のサイクルを組織として支援できるのか――「組織として、どのように経験機会を提供し、学びと実践の学習サイクルを回していくのか」が問われました。

女性リーダー育成は、「特定層の課題」ではなく、組織全体の「リーダーシップ開発のあり方」を問い直すテーマと言えます。本セミナーは、まさに、女性リーダー育成のテーマを通じて、これからのリーダーシップ開発のあり方を再考し、本質を捉え直す機会となりました。

▼女性のためのリーダーシップ強化プログラム

ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
教授システム学修士であり、eラーニングシニアコンサルタントであるデジタルラーニング事業部門長 花木喜英率いるビジネスマスターズ・マーケティングチーム。企業研修登壇実績10年以上・年間100本以上をこなすサイコム・ブレインズ/プログラムディレクター 小西功二とメンバー3名で、企業とビジネスパーソン双方が利を得る教材開発をコンセプトに、学術理論を徹底研究し開発されたビジネスマスターズを、世に広めるべく尽力しています。

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