
今、管理職に求められる役割とは?若手離職を防ぐマネジメントの考え方
「若手社員の離職が増えている」「チームによって成果に大きな差がある」といった課題を抱える企業は少なくありません。その背景には、管理職が果たすべき役割を十分に担えなくなっている状況があると考えられます。
近年は、プレイングマネージャー化による業務負担の増加や、働き方・価値観の多様化によって、管理職に求められる役割が大きく変化しています。しかし、その変化に育成や支援の仕組みが追いつかず、若手育成やチーム運営が個人の経験や力量に依存している企業も少なくありません。
この記事では、管理職が機能しにくくなっている背景を整理したうえで、これからの時代に求められる管理職の役割と、役割を組織に定着させるための育成・学習支援の考え方を解説します。
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管理職を取り巻く現状の課題
多くの企業では、管理職に求められる役割が拡大し、十分に対応することが難しくなっています。若手社員の離職率上昇やチームごとの成果格差などは、その代表例です。
管理職に求められる役割が変化するなかで、従来の経験や個人の力量だけでは対応が難しくなっています。まずは、管理職を取り巻く現状を整理します。
プレイングマネージャー化で管理職の負担が増加している
近年、プレイングマネージャーとして成果創出と人材育成を両立することが求められるケースが増えています。
管理職は売上や業績目標の達成を求められる一方で、部下育成や評価、組織運営にも責任を負っています。その結果、自身の業務に追われ、部下との対話や育成に十分な時間を割けないケースが少なくありません。
特に大企業では、コンプライアンス対応や人事制度運用、組織横断プロジェクトへの参画など、管理職に求められる業務が増え続けています。こうした状況は管理職自身の負担増につながり、管理職を目指す人材の減少にも影響しています。
パーソル総合研究所が実施した「働く10,000人の就業・成長定点調査」では、「現在の会社で管理職になりたい」と回答した割合が2026年時点で15.7%にとどまっている結果が示されています。管理職への期待が高まる一方で、その負担の大きさが敬遠される要因になっていると考えられます。

株式会社 パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」を基に弊社作成
マネジメントの属人化が組織力の低下を招いている
管理職の機能不全を招く要因として、マネジメントの属人化も挙げられます。
管理職に期待される役割や行動指針が定められていても、現場での実践度合いにはばらつきがあります。上司によって育成の質や対話の頻度に差が生じると、若手社員の成長実感やエンゲージメントにも影響をおよぼす可能性があります。
若手社員にとって、上司との関係は働き続けるかどうかを左右する重要な要素です。しかし、指導方法やフィードバックの質が管理職ごとに大きく異なると、組織として一貫した育成が難しくなります。
また、チーム成果についても同様です。優秀な管理職のチームだけが成果を上げる状態では、組織全体の成長は安定しません。
管理職に求められる役割を明確にし、共通のマネジメント基準を持つことが、組織力向上の第一歩といえるでしょう。
今、あらためて管理職に「求められる役割」とは
かつて管理職に求められていた役割は、比較的シンプルでした。市場環境の変化が緩やかで、業務の進め方も標準化されていた時代は、部下に仕事を割り振り、進捗を管理し、必要に応じて指示・指導を行うことが主な役割でした。経験豊富な上司が答えを持ち、部下はそれに従う「指示命令型」のマネジメントでも、組織は十分に機能していました。
しかし現在は、働き方や価値観の多様化に加え、人材不足や人的資本経営への関心の高まりを背景に、単に指示を出すだけでは組織を動かせなくなっています。上司の経験だけでは正解を示せない場面も増え、部下が自ら考え、主体的に行動できる環境づくりが欠かせません。
こうした変化に伴い、管理職に期待される役割も変化しています。従来のマネジメントが即効性のある薬だとすれば、これからのマネジメントは、組織や人の体質を少しずつ改善する「漢方薬」のようなものといえます。強い指示や権限によって一時的に行動を変えることはできても、それだけでは自律的な組織は育ちません。
また、人材育成や組織づくりは短期間で成果が現れるものではありません。対話を重ねながら信頼関係を築き、一人ひとりの成長を継続的に支援する姿勢が重要です。
現在の管理職には、部下を「動かす人」ではなく、組織と人の成長を支える「育てる人」としての役割が求められています。
部下のキャリア自律を支援する
近年、若手社員の離職理由として、待遇や業務負荷だけでなく、次のような理由が挙げられることが増えています。
成長実感が得られない
将来のキャリアが見えない
自分の強みを活かせる環境だと感じられない
価値観や働き方が多様化するなか、会社が一方的にキャリアパスを示すだけでは、若手社員の納得感を得にくくなっています。
そこで注目されているのが「キャリア自律」です。キャリア自律とは、組織任せではなく、自ら将来のありたい姿や成長の方向性を考え、主体的に行動する考え方を指します。若手社員が自分自身のキャリア形成に前向きに取り組める環境は、仕事への意欲や組織へのエンゲージメント向上にもつながります。
ただし、キャリア自律は本人任せにすればよいものではありません。経験の浅い若手社員は、自身の強みや可能性を十分に把握できていないこともあります。そのため、管理職には日常的な対話やフィードバックを通じて成長を支援し、中長期的なキャリアを考える機会を提供することが求められます。
若手社員の離職防止には、目の前の業務管理だけでなく、将来に希望を持って働ける環境づくりも欠かせません。人的資本経営への関心が高まるなか、人材を長期的な価値創出の源泉と捉える企業も増えています。そのような組織では、社員が主体的にキャリアを形成できるよう支援するマネジメントが不可欠です。
心理的安全性の高い環境をつくる
若手社員の離職防止には、心理的安全性の高い職場づくりも欠かせません。業務経験が浅い若手社員ほど、疑問や不安を抱えやすく、上司や周囲に相談できるかどうかが働き続ける意欲を左右します。
心理的安全性が低い職場では、次のような不安から悩みを抱え込んでしまうことがあります。
「こんなことを聞いたら評価が下がるのではないか」
「失敗を知られたら責められるのではないか」
その結果、小さな違和感や不満が共有されないまま蓄積し、気づいたときには離職意向が高まっているケースも少なくありません。
一方、安心して相談できる環境があれば、失敗や迷いも隠さず共有しやすくなります。上司が早い段階で状況を把握できれば、業務量の調整や成長機会の提供、フィードバック方法の見直しなど、離職につながる前に適切な支援を行えます。
なお、心理的安全性とは「優しい職場」を意味するものではありません。若手社員が安心して意見を伝え、必要な指摘を受け止めながら成長できる関係性を築くことが重要です。そのため管理職には、部下の発言を頭ごなしに否定せず受け止め、1on1や日常の対話を通じて本音を話しやすい環境を整えることが期待されます。
若手社員が「この職場なら相談できる」「失敗しても学び直せる」と感じられることは、組織への信頼や定着意欲につながります。心理的安全性の高い環境づくりは、若手社員の定着を支える重要な土台といえるでしょう。
チーム全体の成果を最大化する
管理職に求められる重要な役割の一つが、チーム全体の成果を最大化することです。プレイヤーから管理職へ役割が変わる際の大きな違いは、「自分自身が成果を上げる立場」から「チーム全体の成果に責任を持つ立場」へと変わる点にあります。そのため、管理職自身の成果創出に加え、メンバー一人ひとりの力を引き出し、チームとして力を発揮できる環境を整える視点が求められます。
チーム全体の成果を高めるためには、次のような取り組みが重要です。
メンバー一人ひとりの強みを把握する
強みや適性を踏まえて役割を分担する
チームの目標を明確に共有する
定期的に進捗を確認する
必要に応じて支援や軌道修正を行う
こうした取り組みを積み重ねることで、個人の能力に依存するのではなく、チーム全体で安定して成果を生み出せる組織づくりにつながります。

管理職の役割を再定義し、組織全体で定着させることが重要
管理職を取り巻く環境は大きく変化しています。従来のように業務を管理し、指示を出して成果を上げるだけでなく、部下の成長支援や心理的安全性の確保、多様な人材の力を引き出すマネジメントが求められるようになりました。
そのため、管理職育成を見直す際は、自社が管理職に何を期待するのかを明確にすることが重要です。例えば、「成果管理を担う責任者」だけでなく、「部下のキャリア自律を支援する存在」や「対話を通じてチームの力を高める存在」といった役割まで整理することで、育成方針や研修内容の方向性も定めやすくなります。
また、経営戦略や人材戦略を踏まえて求める管理職像を明文化し、評価や育成制度へ反映することも重要です。期待される役割を組織全体で共有することで、管理職自身も日々のマネジメントで何を重視すべきかを理解しやすくなります。
ただし、役割を定義するだけでは十分ではありません。新たな役割を現場へ定着させるには、管理職が継続的に学び、実践できる環境づくりも欠かせません。
サイコム・ブレインズが支援する管理職育成
新たな管理職像を組織へ定着させるには、継続的な学習環境が欠かせません。サイコム・ブレインズの『ビジネスマスターズ®』では、管理職に必要な知識やスキルを体系的に習得し、実践につなげられるよう支援しています。
管理職に必要なスキルを体系的に学べる
管理職に求められる役割が広がるなかで、必要となるスキルも多様化しています。
コーチングやフィードバック、1on1、目標管理、チームマネジメントなどを体系的に学ぶことで、管理職として必要な知識や考え方を整理できます。
また、管理職育成を標準化することで、特定の上司だけに依存した育成から脱却しやすくなります。その結果、組織全体で共通のマネジメント基準を浸透させることにもつながります。
継続的な学習でマネジメントの定着を支援する
管理職育成は、一度の研修だけで完結するものではありません。
研修で学んだ内容を実務で実践し、振り返りを重ねることで、初めて行動変容につながります。そのためには、必要なタイミングで学び直せる環境が欠かせません。
ビジネスマスターズ®の動画ライブラリやコースウエアを活用すれば、一人ひとりが自身の課題に応じて学習を進められます。忙しい管理職でも取り組みやすく、継続的なスキル習得を後押しします。
まとめ
この記事では、管理職に求められる役割について以下の内容を解説しました。
管理職を取り巻く現状の課題
今、あらためて管理職に「求められる役割」とは
管理職の役割を再定義し、組織全体で定着させることが重要
サイコム・ブレインズが支援する管理職育成
若手社員の離職やチーム成果のばらつきといった課題の背景には、管理職に期待される役割が広がる一方で、それに対応するための育成や支援が十分に追いついていない状況が存在する場合があります。
特に近年は、プレイングマネージャー化による負担増やマネジメントの属人化によって、部下育成や組織運営に十分な時間を確保できないケースも増えています。
一方で、働き方や価値観が多様化するなか、管理職には業務管理だけでなく、部下のキャリア自律を支援すること、心理的安全性の高い環境をつくること、チーム全体で成果を生み出すことが求められています。
そのためには、管理職個人の経験や力量に依存するのではなく、組織全体で学習と実践を支援できる環境づくりが欠かせません。
『ビジネスマスターズ®』のような継続学習の仕組みも活用しながら、自社の管理職に求める役割を明確にし、マネジメントが正しく機能する組織づくりを進めていくことが大切です。
参照・出典
出典:株式会社パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」
FAQ
Q1.なぜ今、「管理職の役割」が変化しているのでしょうか?
働き方の多様化や人的資本経営への関心の高まりにより、管理職には従来の業務管理だけでなく、部下育成や心理的安全性の向上、キャリア支援など、より幅広い役割が求められるようになっています。
Q2.若手社員の離職と管理職にはどのような関係がありますか?
上司とのコミュニケーション不足や、一方的なマネジメントによって、若手社員のエンゲージメントが低下するケースがあります。適切なフィードバックや対話、成長支援が不足すると、早期離職につながる可能性があります。
Q3.現代の管理職に特に求められるスキルは何ですか?
コーチングやフィードバック、1on1、チームマネジメントなどの対話力が重要です。また、部下のキャリア自律を支援し、心理的安全性の高い環境をつくるマネジメントスキルも求められています。



