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グローバル人材とは?意味・定義から求められる背景までをわかりやすく解説

グローバル人材とは、どのような人材を指す言葉なのでしょうか。

近年、多くの日本企業で「グローバル人材の育成」や「グローバル対応力の強化」といった言葉が使われる一方で、その定義や意味は必ずしも明確に共有されているとは言えません。

海外拠点で働く社員、英語を使って業務を行う人材、多様な価値観を理解しながら仕事を進められる人──こうしたイメージはあっても、「グローバル人材とは何か」をひとことで説明するのは意外と難しいのが実情です。

しかし、事業のグローバル化が進み、国内外の市場環境や人材構成が大きく変化する中で、企業にとってグローバル人材の必要性はますます高まっています。単に語学力が高い人材を指すのではなく、どのような背景のもとで、どのような要素を備えた人材が求められているのかを整理することが、今あらためて重要になっています。

本記事では、「グローバル人材とは何か」という基本的な定義や意味を整理したうえで、なぜ今グローバル人材が求められているのか、その背景や企業にとってのメリット、共通して語られる主な要素について、全体像をわかりやすく解説します。

具体的な育成方法や研修施策の詳細に踏み込む前に、まずはグローバル人材という概念を正しく理解し、自社にとってのグローバル人材像を考えるための土台としてご活用ください。

目次[非表示]

  1. 1.グローバル人材とは何か?その意味と基本的な定義
    1. 1.1.グローバル人材の一般的な定義
    2. 1.2.日本企業における「グローバル人材」の捉えられ方
    3. 1.3.なぜグローバル人材の定義は一様でないのか
  2. 2.なぜ今、グローバル人材が求められているのか
    1. 2.1.海外市場・海外顧客を前提とした事業が当たり前になった
    2. 2.2.労働人口の減少により、多国籍人材との協働が避けられなくなっている
    3. 2.3.海外拠点・パートナー任せでは事業が回らなくなってきた
    4. 2.4.「海外経験があるだけ」では対応しきれない場面が増えている
  3. 3.グローバル人材に共通して語られる主な要素
    1. 3.1.語学力・コミュニケーション力
    2. 3.2.異文化理解と多様性への対応力
    3. 3.3.主体性・自律性
    4. 3.4.論理的思考力と調整・対話力
    5. 3.5.環境変化への適応力
  4. 4.まとめ:すべての要素を満たす必要はない
  5. 5.サイコム・ブレインズのソリューション

グローバル人材とは何か?その意味と基本的な定義

「グローバル人材」という言葉は、近年のビジネスシーンにおいて頻繁に使われていますが、その意味や定義は必ずしも一義的ではありません。企業や業界、立場によって指している内容が微妙に異なり、「何をもってグローバル人材と呼ぶのか」が曖昧なまま使われているケースも少なくありません。

まずは、一般的にどのような意味で使われているのかを整理したうえで、日本企業における捉えられ方や、定義が一様にならない理由について確認していきます。

グローバル人材の一般的な定義

一般的にグローバル人材とは、国や文化の違いを越えて、ビジネスや組織活動において価値を発揮できる人材を指す言葉として用いられます。
単に海外で働いている、あるいは外国語が話せるといった要素だけで定義されるものではなく、多様な価値観や背景を持つ相手と協働しながら、成果につなげていく力が重視される点が特徴です。

そのため、言葉の意味を説明する際には、語学力や海外に関する知識だけでなく、異なる文化や考え方を理解し、柔軟に対応する姿勢や行動が含まれることが多くなります。
こうした点から、グローバル人材は「特定のスキルを持つ人」ではなく、「特定の環境下で力を発揮できる人材像」として語られることが一般的です。

日本企業における「グローバル人材」の捉えられ方

日本企業においては、グローバル人材という言葉は、海外事業や海外拠点と結びついた文脈で多く使われます。
たとえば、「海外赴任者」や「海外拠点のマネジメントに関わる人材」などが、代表的な例としてよく挙げられます。

一方で近年は、必ずしも海外に駐在していなくても、国内にいながらグローバルな業務に関わる人材も増えています。海外の顧客やパートナー企業の取引、グローバルプロジェクトへの参画、多国籍なメンバーとの協働など、働く場所に関係なくグローバルな対応力が求められる場面は広がっています。

こうした背景から、日本企業におけるグローバル人材の定義も、単なる「海外要員」から、国・地域をまたいだビジネスで役割を果たせる人材全般へと、徐々に広がりを見せています。

なぜグローバル人材の定義は一様でないのか

グローバル人材の定義が一様にならない理由の一つは、企業ごとに事業内容やグローバル化の段階が異なる点にあります。

海外展開の進み具合や、関わる国・地域、ビジネスモデルによって、求められる役割や人材像は大きく変わるため、共通の定義を設定することが難しいのです。

また、グローバル人材に求められる要素は、時代や環境の変化によっても変わります。かつては語学力や専門性が強調される傾向がありましたが、現在では多様性への理解や柔軟な思考、関係構築力など、より行動や姿勢に関わる側面が重視されるようになっています。

その結果、グローバル人材とは「これさえ満たせば該当する」という固定的な定義ではなく、自社の事業戦略や組織の状況に応じて定義されるべき概念として扱われることが多くなっています。

この点を踏まえたうえで、次章以降では、なぜ今グローバル人材が求められているのか、その背景について整理していきます。

なぜ今、グローバル人材が求められているのか

グローバル人材が注目される背景には、「グローバル化が進んでいるから」といった一言では片づけられない、いくつかの具体的な変化があります。

ここでは、日本企業の事業活動や人材を取り巻く環境の変化を手がかりに、なぜ今あらためてグローバル人材が求められているのかを整理していきます。

海外市場・海外顧客を前提とした事業が当たり前になった

多くの日本企業にとって、成長の場は国内市場だけでは完結しなくなっています。

国内経済の伸び悩みや市場規模の縮小を背景に、安定的な成長を実現するためには、海外市場や海外顧客を視野に入れた事業展開が不可欠となっているためです。

その結果、製品やサービスの企画、価格設定、契約条件、アフターサポートなど、さまざまな場面で国や地域ごとの違いを前提とした判断が求められるようになりました。

こうした状況では、海外拠点だけでなく、本社や国内部門においても、グローバルな視点で業務を進められる人材の存在が欠かせません。

労働人口の減少により、多国籍人材との協働が避けられなくなっている


日本国内では、少子高齢化の進行により、労働人口の減少が続いています。

その影響もあり、企業は人材確保の選択肢として、外国籍人材の採用や、海外人材との協働を進めざるを得ない状況にあります。

職場に、異なる文化や価値観、働き方を持つメンバーが加わるに伴い、従来の「日本的な前提」がそのまま通用しない場面も増加してきています。

こうした環境では、国籍やバックグラウンドの異なる相手と協働し、組織として成果を出すための調整力や関係構築力が、これまで以上に重要になります。

海外拠点・パートナー任せでは事業が回らなくなってきた


これまで、日本企業の海外事業は、「現地に任せる」形で運営されるケースも多く見られました。

しかし近年では、オンライン会議やチャットツールの普及、コロナ禍を契機とした働き方の変化などにより、国や地域をまたいだ業務連携が急速に進み、意思決定や対応のスピードもこれまで以上に重視されるようになっています。

その結果、本社と海外拠点、あるいは国内外のパートナーが連携しながら、素早く判断を下す体制が求められるようになりました。

こうした環境では、単なる情報の橋渡しではなく、異なる前提や利害を理解したうえで、全体最適の視点から調整・判断できる人材の存在が不可欠となります。

このような役割を担える人材が十分に確保できていないことが、グローバル人材の必要性が強く意識される一因となっています。

「海外経験があるだけ」では対応しきれない場面が増えている


かつては、海外赴任や長期滞在といった経験そのものが、グローバル対応力の証として評価されることもありました。
しかし現在では、経験の有無よりも、異なる環境下でどのように行動し、周囲と関係を築き、成果につなげられるかが問われるようになっています。

グローバルな業務は、正解が一つではなく、価値観や前提の違いを踏まえた調整や対話が不可欠です。
そのため、グローバル人材は一部の専門人材に限られた存在ではなく、企業活動のさまざまな場面で求められる存在として認識されるようになっています。

▼関連記事

ここまで見てきた、事業環境や人材構成などの大きな変化といった課題に対して、企業や政府がどのような取り組みを行っているのか、事例をもとに整理した記事もあわせてご覧ください。

グローバル人材に共通して語られる主な要素

グローバル人材という言葉が指す内容は企業ごとに異なりますが、多くの議論や実務の中で、共通して語られる要素はいくつか存在します。
ここでは、グローバル人材に求められる要件や能力について、まずは全体像を整理する観点から紹介します。

重要なのは、これらの要素をすべて備えた「理想像」を目指すことではありません。
自社の事業内容やグローバル化の状況に応じて、どの要素がより重要になるのかを考えるための参考として捉えることが大切です。

語学力・コミュニケーション力


グローバル人材の要素として、まず挙げられることが多いのが語学力です。

海外の顧客やパートナー、外国籍のメンバーと業務を進めるうえで、共通言語を用いたコミュニケーションは欠かせません。

現在のビジネス環境では、世界共通語としての英語を前提としつつ、中国をふくむアジア諸か国等、事業展開する地域に応じた言語への対応が求められるケースも増えてきています。

ただし、ここで重視される語学力とは、単に語彙・文法・スピーキング力を持つだけではなく、相手の意図を正確に理解し、自分の考えをわかりやすく伝え、必要に応じて認識のズレを調整していくといった、実務におけるコミュニケーション力が含まれる点に留意が必要です。

異文化理解と多様性への対応力


国や地域が異なれば、価値観や商習慣、仕事の進め方にも違いがあります。

こうした違いは、歴史的な背景や宗教、社会制度、経済の発展段階など、国や地域ごとの成り立ちによって形づくられている場合も少なくありません。

グローバルな環境で働くうえでは、こうした背景の違いを前提として理解し、一方的に自分たちのやり方を押し付けるのではなく、相手の立場や考え方を尊重しながら業務を進める姿勢が求められます。

異文化理解とは、相手の文化を知識として知ることにとどまらず、「なぜそのような考え方や行動になるのか」を考えながら、自分自身の前提や常識を見直し、関係性を調整していく力とも言えます。

たとえば、合意の取り方、報告・連絡のタイミングなどについて、日本では当たり前とされている進め方が、他の国や地域でも同じとは限らないのです。

こうした違いを前向きに受け止め、対話を通じてすり合わせていく力は、多様なバックグラウンドを持つ人材との協働機会が増える中、ますます重視されています。

主体性・自律性


グローバルな業務環境では、常に明確な正解や指示が与えられるとは限りません。

時差や距離、組織構造の違いなどにより、自ら状況を判断し、行動することが求められる場面も多くなります。

日本企業の職場では、周囲と足並みをそろえながら合意形成を重ねて進めることで、円滑に業務が進む場面も多く見られます。

一方、国や地域をまたぐ業務では、前提条件や期待される役割が共有されにくく、「何をすべきか」を自分で考え、意思を示さなければ、物事が前に進まないケースも少なくありません。

そのため、指示を待つのではなく、求められている役割や状況を自ら考えながら、主体的に動けること、変化する環境に応じて判断や行動を調整できることが、グローバル人材に共通して求められる重要な要素として挙げられます。

論理的思考力と調整・対話力


グローバルなビジネスでは、異なる国や地域、組織に属する関係者と協働しながら、合意形成を図る場面が多くあります。

そこでは、言語、文化、価値観といった「違い」や物理的な「距離」により、国内業務と比べて前提条件や認識のすり合わせが容易ではなく、すれ違いや衝突が生じやすいという特徴があります。

そのため、自分の意見を感覚的に伝えるのではなく、「なぜそう考えるのか」「どのような根拠があるのか」を整理し、筋道立てて説明する力がより重要になります。

あわせて、相手の立場や主張を理解したうえで、共通点や妥協点を探りながら対話を重ね、状況に応じて柔軟に調整していく姿勢も欠かせません。

こうした論理的思考力と調整・対話力は、違いのある相手と協働するグローバルな環境において、関係性を築き、成果につなげていくための重要な土台となります。

環境変化への適応力


グローバルな事業環境では、市場の状況や競争環境、制度やルールなどが、国内と異なるだけでなく、変化スピードも速い傾向にあります。事業を進める途中で、想定していた前提条件が変わったり、計画の見直しを迫られたりする場面も少なくありません。

たとえば、法規制の変更、社会情勢の影響などにより、プロジェクトの進め方を大幅に変えなければいけないこともありえるでしょう。

こうした状況では、過去の成功体験や既存の方法に固執せず、変化を冷静に受け止めながら、柔軟に考え方や行動を調整していく姿勢が求められます。

また、こういった業務環境においては、想定外の出来事や不確実性に直面する機会も多く、精神的な負荷がかかりやすい側面もあります。

そのため、変化のストレスを過度に抱え込まず、困難な状況から立て直していく「レジリエンス(回復力)」も、環境変化への適応力を支える重要な要素として挙げられます。

環境や前提が変わることを織り込んだうえで、次に何ができるかを考え続けられる力は、不確実性の高いグローバルな環境で事業や組織を前に進めていくために欠かせません。

▼関連記事

・グローバル人材が実務で求められる能力やスキルについて、より具体的・体系的に解説した記事は、こちらをご覧ください。

・ここまで見てきた個人としてのグローバル人材の要素を統合して組織を動かす「グローバルリーダー」の視点については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:すべての要素を満たす必要はない

ここまで紹介してきた要素は、グローバル人材について語られる際によく挙げられるものですが、すべてを一人の人材が完璧に備える必要はありません
また、事業の内容やフェーズによって、重視すべき要素の組み合わせは異なります。

そのため、グローバル人材を考える際には、「どの要素を、どの層に、どの程度求めるのか」を整理することが重要になります。

▼関連記事

グローバル人材に求める要素を、実際の採用や選抜の場でどのように見極めるかについては、行動特性に着目したグローバル人材の採用・アセスメントを解説した以下の記事で詳しく紹介しています。

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ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
教授システム学修士であり、eラーニングシニアコンサルタントであるデジタルラーニング事業部門長 花木喜英率いるビジネスマスターズ・マーケティングチーム。企業研修登壇実績10年以上・年間100本以上をこなすサイコム・ブレインズ/プログラムディレクター 小西功二とメンバー3名で、企業とビジネスパーソン双方が利を得る教材開発をコンセプトに、学術理論を徹底研究し開発されたビジネスマスターズを、世に広めるべく尽力しています。

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