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海外事業で成果を出すグローバル人材に必要な5つのスキルとは?

海外事業を担当できる日本人材を育てたい――その際にまず語学力の高さを重視して選抜を行う企業は少なくありません。しかし、実際のグローバルビジネスでは、語学力が高いだけでは役割を果たしきれません。

海外旅行や留学経験がある人材であっても、商談、現地パートナー企業との交渉、本社と現地の調整といった実務の中では、文化・価値観、意思決定スタイルの違いに直面し、思うように成果を出せないケースが多く見られます。

「言っていることは理解できるが、話が前に進まない」
「合意したはずなのに、後から前提が食い違っていることが分かる」
「判断を求められるが、どこまで自分で決めてよいのか分からない」

こうした状況は、海外事業で成果を出すために必要なスキル・知識不足に起因している場合がほとんどです。

本記事では、海外事業で成果を出すために求められるグローバル人材に必要な能力・知識・スキルを、教育・育成の観点から整理しています。個人の資質や経験に委ねがちなグローバル人材育成を、組織として考えるための視点として、お読みいただければ幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.海外事業で成果が出ない背景にある「見えにくい課題」
  2. 2.グローバルの現場で事業を推進するために求められる5つの“力”とは
  3. 3.海外事業で成果を出すグローバル人材に必要な5つのスキル
  4. 4.海外事業で求められるスキル(必要な能力)は「役割」によって異なる
  5. 5.関連記事
  6. 6.MBK Wellnessのソリューション
  7. 7.まとめ

海外事業で成果が出ない背景にある「見えにくい課題」

グローバル人材の不足は、多くの企業に共通する課題です。その背景には、語学など分かりやすい指標に寄った人選、教育すべきスキル(=必要な能力)の未定義、事業理解や異文化理解の不足など、複数の要因が重なっています。

とりわけ重要なのは「語学ができても、海外事業を前に進めるためのスキルが十分に備わっていない」という点です。

海外拠点や海外パートナーとの協働では、意思決定の進め方、優先順位の考え方、商習慣が日本と大きく異なります。そのため、語学力があっても、

  • 判断のタイミングを逃す
  •  合意形成に時間がかかる
  •  調整役に徹しすぎて事業が前に進まない

といった状況が起こりがちです。

実際の現場でも、
「現地スタッフの言動や本音が理解できない」
「海外事業を担当しているが、調整に追われて前に進まない」
「関係構築に時間がかかり、成果が出るまでに想定以上の時間を要している」
といった声がよく聞かれます。

これらは個人の努力不足ではなく、成果を出すために必要なスキル要件が整理されないまま、体系的な学習機会もない状態で、役割を任されていることが原因であるケースが少なくありません。

つまり、「海外事業で成果を出す人材は、どのような力を備えているのか」を言語化することが、グローバル人材育成・選抜の出発点になります。

グローバルの現場で事業を推進するために求められる5つの“力”とは

実務の現場では、英語ができることと海外事業を推進できることはイコールではありません。成果を出せる人材には、以下のような“ビジネス遂行力”が求められます。

  • 不確実な状況でも判断し、前に進める力(=意思決定力・前進力)

海外では、情報が揃わない状態で判断を求められる場面が日常的に発生します。「もう少し情報を集めてから」「本社の意向を待つ」といった姿勢では、機会を逃してしまうことも少なくありません。限られた情報の中で仮説を立て、判断し、必要に応じて修正しながら前に進める力が成果を左右します。

  • 主張が強い相手との落とし所をつくる力(=交渉力・合意形成力)

日本では暗黙の了解で進むことがありますが、海外の対立は珍しいことではありません。対立を避けるのではなく、前提条件や論点を整理し、合意可能な着地点を見つけていく力が求められます。感情ではなく構造で交渉する力は、ビジネスを前に進めます。

  • 本社と現地の狭間で利害を整理し、行動につなげる力(=翻訳力・調整力)

本社と現地では、評価指標や優先順位が異なることが多くあります。どちらかの言い分をそのまま伝えるだけでは対立が深まるだけです。双方の事情を理解した上で、現実的な選択肢に翻訳して提示する力が必要です。

  • 異なる価値観を前提に、判断基準を組み立て直す力(=異文化理解力・判断軸の調整力)

日本式の「正解」や「常識」が通用しない場面は数多くあります。相手の価値観や、商慣習、文化的背景なども理解した上で、判断軸を柔軟に組み立て直せるかどうかが、誤解や衝突を減らします。

  • プレッシャーのかかる環境でも、折れずにやり切る力(=レジリエンス・セルフマネジメント力)

海外事業では、思うように物事が進まない状況や、正解が見えないまま判断を求められる場面が続くこともあります。そうした環境の中でも感情に振り回されず、自分の状態を整えながら、粘り強く行動を継続できる力が成果を支えます。不確実性やプレッシャーの高い環境下でも、冷静に判断し続けるための重要なビジネススキルです。

たとえば、語学力が高く、商品や技術に関する専門知識があっても、「言葉は理解できるのに、どのように動くべきか分からない」 「日本では問題なくできていたことが、海外では思うように上手くいかない」といった状況に戸惑うケースが少なくありません。その結果、自信を失ったり、強いストレスを抱えてメンタルに支障をきたしてしまうこともあります。場合によっては、意図せず、現地でハラスメントとして問題になるケースも見られます。

こうした状況が、個人の能力や努力不足として片づけられてしまうケースもあるようです。しかし、多くの場合、その背景には、海外事業で成果を出すために必要な知識・スキルが十分に整理・共有・教育されないまま、役割を担っているという問題があります。

つまり、ビジネス遂行力を発揮するために必要な知識・スキルを事前に備えることで、現地で直面する課題の多くは、未然に防いだり、適切に対処したりすることが可能になります。

能力や適性を、知識やスキルとして定義し直すことで、育成・研修プログラムにも落とし込みやすくなります。

そこで次章では、上記の問題意識を踏まえ、会社として教育・支援しやすい形に翻訳するために、語学以外に必要な、海外事業で成果を出すために求められるビジネス遂行力を、5つのスキルとして整理して解説します。

海外事業で成果を出すグローバル人材に必要な5つのスキル

海外事業で成果を出している人材は、語学力や専門知識だけでなく、状況に応じて判断し、関係者と調整しながら事業を前に進めるために必要な、いくつかの力を組み合わせて発揮しています。

これらの力は、感覚や経験則として語られがちですが、実際には、教育や研修の対象として整理できるスキル・知識でもあります。

そこで本章では、前章で整理したビジネス遂行力を、能力ではなくスキル強化として教育支援しやすいように、海外事業で成果を出すグローバル人材に必要な5つのスキルとして整理して示します。

1.戦略理解・伝達
事業の目的・狙い・優先順位を理解し、相手に合わせて噛み砕いて伝える力です。事業構造や収益モデルなど、経営視点の理解がなければ、判断や調整は表層的なものになってしまいます。

2.異文化コミュニケーション
文化・価値観・意思決定の基準が異なる前提で対話し、誤解を調整する力です。文化や価値観の差異がビジネスコミュニケーションに及ぼす影響についての理解は必須です。

3.利害調整・合意形成
海外事業は関係者が多く、利害関係も複雑です。相手の立場や動機を読み取りつつ、双方にとって実現可能な着地点をつくる力が求められます。特に調整・交渉術は習得しておくべき、基礎知識・スキルと言えます。

4.意思決定・課題解決
正解がない状況でも前に進める力、必要な情報を取りに行く力、仮説を立てて判断する力です。不確実性が高い海外事業では、「完璧な情報が揃うまで待つ」のではなく、「ある程度の十分な情報で、早く前に進む」意思決定が求められます。論理的思考や意思決定フレームワークの理解と活用は必須です。

5.信頼関係構築
海外事業の成功は、最終的には「人と人の関係性」に大きく依存します。ビジネスにおける異文化の影響を理解し、双方のメリットを提示しながら、相手から「この人となら一緒に進めたい」と思ってもらえる関係性づくりが、結果として事業の推進力につながります。

海外事業で求められるスキル(必要な能力)は「役割」によって異なる

ここまで、海外事業で成果を出すために必要な能力を5つのスキルとして整理してきました。とはいえ、これらのスキルをすべての人に、同じレベルで求めることは不可能です。どの役割にどのスキルが特に重要で、身につけておくべきかを整理することで、選抜や育成がしやすくなります。

事業責任を担うポジションの場合:

海外事業の立ち上げや拡大を担う人材には、他のポジションと比較した場合、

• 戦略理解・伝達
• 意思決定・課題解決

といったスキルが特に重要になります。

不確実な状況でも方向性を示し、判断を下す力が、事業のスピードと成果を左右します。

本社と現地をつなぐ調整役の場合:

現地法人や海外パートナーとの橋渡し役には、

• 戦略理解・伝達
• 異文化コミュニケーション
• 利害調整・合意形成

の比重が高くなります。

単に情報を伝えるのではなく、立場や背景の違いを踏まえて整理し直す力が求められます。

専門領域を担うメンバーの場合:

技術などの専門性を活かして海外事業に関わる場合には、

• 利害調整・合意形成
• 信頼関係構築

が成果に影響します。

専門スキルが高くても、関係構築ができなければ、力を十分に発揮しきれません。

このように、「誰に・どの役割を期待しているのか」を起点に考えることで、求めるスキルの優先順位や到達レベルは異なるはずです。

▶図表1: 役割別スキルマップの例

※ ★の数は「重要度」の目安

役割 / スキル

戦略理解・伝達

異文化コミュニケーション

利害調整・合意形成

意思決定・課題解決

信頼関係構築

海外事業責任者

★★★

★★

★★

★★★

★★

本社-現地の調整役

★★★

★★★

★★★

★★

★★★

専門領域担当(技術)

★★

★★★

★★

★★★

このように整理すると、「全員に同じ能力を求める」のではなく、役割に応じて重点的に強化すべきスキルが異なる可能性があることが分かります。

この視点を持つことで、

  • 選抜時に何を見ればよいのか
  • 育成で何を優先すべきか
  • 配置ミスをどう防ぐか

といった判断が、より具体的にできるようになります。

まずは、自社の海外事業にどのような役割が存在しているかを洗い出し、それぞれの役割に対して、どのスキルが成果に直結しているのかを整理してみると良いでしょう。

関連記事

MBK Wellnessのソリューション

【研修プログラム】

異文化マネジメントに必要な「文化的価値観の差異がビジネスに及ぼす影響」と「コミュニケーション法」、演習を交えながら習得できるプログラムです。

【アセスメント】

文化的価値観の違いによって起こりうる問題を事前に把握し、ビジネスでより良い関係を構築する手がかりを得ることができます。

【映像教材】
グローバルビジネス
で成果を出すために必要な知識・スキルを映像教材の視聴で学ぶことができます。

まとめ

海外事業で成果を出すグローバル人材には、語学力に加えて、戦略理解・伝達力、異文化コミュニケーション、利害調整・合意形成、意思決定・課題解決、信頼関係構築といった複数のスキルが、グローバル人材に必要な能力として求められます。

重要なのは、これらを個別にバラバラに捉えるのではなく、「海外事業を前に進めるためのスキルセット」として整理することです。そうすることで、なぜ成果が出にくいのかを構造的に捉えられるようになります。

また、すべての人に同じレベルのスキルを求めるのではなく、海外事業における役割に応じて、どのスキルを優先し、どのレベルを期待するのかを整理することが重要です。

まずは、自社の海外事業や越境業務において、どの場面で、どの役割の人材に、どのスキルが成果に影響しているのかを言語化してみてください。スキル要件が明確になることで、育成・選抜・配置といった施策も、より一貫性のある判断軸で検討できるようになります。

もし、現状整理や育成設計の検討に難しさを感じる場合は、現状の棚卸しから育成プランの設計まで、専門家の視点を取り入れることも一つの選択肢です。当社のコンサルタントがご支援いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

■本記事の監修者■

ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
ビジネスマスターズ・マーケティングチーム
教授システム学修士であり、eラーニングシニアコンサルタントであるデジタルラーニング事業部門長 花木喜英率いるビジネスマスターズ・マーケティングチーム。企業研修登壇実績10年以上・年間100本以上をこなすサイコム・ブレインズ/プログラムディレクター 小西功二とメンバー3名で、企業とビジネスパーソン双方が利を得る教材開発をコンセプトに、学術理論を徹底研究し開発されたビジネスマスターズを、世に広めるべく尽力しています。

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