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コミュニケーション能力を向上させるには? 具体的な方法10選

どんなに素晴らしいプランを立てたとしても、実行段階で上手に行えなければ思うような仕事の成果は得られません。高い成果を得るために特に実行段階で欠かせないのが、関係者とのコミュニケーションです。そこでは、信頼関係を深めながら質の高い対話を行うことが大事になります。本記事では、すぐに職場で実践できる対話のスキルをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:なぜ今「コミュニケーション能力」が問われるのか
  2. 2.コミュニケーション能力の正体:スキルは後天的に伸ばせる
  3. 3.コミュニケーション能力を向上させる具体的な方法10選
    1. 3.1.① アクティブリスニング(積極的傾聴)を習慣化する
    2. 3.2.② アサーティブコミュニケーションで理解と主張の両立を図る
    3. 3.3.③ ラポール(信頼関係)を短時間で構築する技術
    4. 3.4.④ 質問力を磨く:情報を引き出すスキル
    5. 3.5.⑤ 説明力を強化する:結論ファースト+根拠+簡潔
    6. 3.6.⑥ 提案力を高める:相手のメリット起点で話す
    7. 3.7.⑦ ネゴシエーション(交渉力)を強化する
    8. 3.8.⑧ ファシリテーションスキルで成果が生まれる会議に変える
    9. 3.9.⑨ 非言語コミュニケーションを整える:表情・姿勢・声
    10. 3.10.⑩ フィードバック力を高める:行動にフォーカスして伝える
  4. 4.コミュニケーション能力が組織の成果に与える影響
  5. 5.若手の対話力低下へのアプローチ
  6. 6.まとめ
  7. 7.FAQ(7問)
  8. 8.引用・参照元とURL一覧

はじめに:なぜ今「コミュニケーション能力」が問われるのか

現代のビジネス環境では、かつて以上に「コミュニケーション能力」が重要視されています。その背景には、働き方、組織構造、価値観の変化という3つの要素が深く関係しています。テレワークの普及に伴い、雑談のような「偶発的なやり取り」が減り、意図的にコミュニケーションを設計しなければ情報が流れなくなりました。対面であれば自然と伝わっていた表情のニュアンスや相手の反応を読み取る力も、オンラインでは意識的に調整しないと機能しません。そのため、従来以上に「伝える力」や「傾聴力」、あるいは「共感的理解」が求められているのです。

また、ビジネスそのものが複雑化したことで、部門横断の調整、ステークホルダーとの交渉、顧客との合意形成など、多種多様なシーンで高度なコミュニケーション能力が必要になりました。今は「専門性があるだけの人材」よりも、「相手の立場を理解しながら、協働的に物事を進められる人材」が高く評価されます。いわゆる「ハブ型人材」や「橋渡し役」の価値が高まっているということです。

さらに、若手世代のコミュニケーション傾向にも大きな変化があります。SNS中心のコミュニケーションでは、自分のペースで文字ベースのやり取りができる一方、リアルタイムの対話経験が不足しがちです。職場での対面コミュニケーションに苦手意識を持つ人も増えています。企業側はその課題を「個人の能力不足」と捉えるのではなく、環境や機会設計の問題として理解し、スキルを育成・支援する姿勢が求められます。

そして何より、コミュニケーションの質は組織風土にも直結します。心理的安全性、エンゲージメント、協働姿勢、会議の生産性など、どれもコミュニケーション抜きには語れません。つまり、「コミュニケーション能力の強化」は個人スキルの問題を超え、組織全体のパフォーマンスを左右する「基盤づくり」なのです。

コミュニケーション能力の正体:スキルは後天的に伸ばせる

まず誤解してはいけないのは、「コミュニケーション能力は生まれつき決まる特性ではない」という点です。確かに、社交的な性格や初対面に強い資質は人によって異なります。しかし、実際のビジネスシーンで求められているのは「性格」ではなく、後天的に伸ばせる複数のスキルの組み合わせです。

例えば、傾聴スキル、質問力、わかりやすく説明する構成力、相手と信頼関係(ラポール)を築く態度、誤解を防ぐための確認行動、非言語情報の読み取りといったスキルはどれも練習によって向上します。また、アサーティブコミュニケーションのように、相手を尊重しつつ、自分の意見も丁寧に伝える技術も体系化された学習によって身に付けることができます。

特にビジネスでは、コミュニケーションは「成果を生むための手段」として扱われます。したがって、単なる会話の上手さではなく、目的から逆算して情報を整理する力、感情的対立を避けながら合意形成を進める力、必要な情報を引き出す質問設計力など、構造化されたスキルが求められます。これは生まれつきの性格とはほとんど無関係です。

さらに最近注目されているのが、認知心理学や行動科学を基盤としたコミュニケーションスキルです。相手の価値観、背景、心理状態を理解し、その人が何を求め、何に不安を感じているのかを洞察する力は「共感スキル」として鍛えることができます。このスキルは対人トラブルを減らすだけでなく、信頼関係の早期構築、交渉成功率の向上、プロジェクト推進の円滑化にも大きく寄与します。

つまり、コミュニケーション能力は「センス」ではなく、「学習すれば誰でも伸ばせる構造的スキルの集合体」なのです。この認識を持つことが、スキル向上の第一歩になります。

コミュニケーション能力を向上させる具体的な方法10

次に業務シーンで即座に使える10の実践策を詳しく解説していきます。どの項目も「今日から取り入れられる行動」に落とし込んでいるため、職種を問わず応用が可能です。

① アクティブリスニング(積極的傾聴)を習慣化する

コミュニケーション力向上の基盤は、実は「話す力」よりも「聴く力」です。特にビジネスでは、相手の意図、背景、感情を正確に読み取れる人ほど調整力が高くなります。

アクティブリスニングでは、

  • うなずき・あいづち

  • 要約(パラフレーズ)

  • 共感の言葉を添える

を行い、相手の発言を「受け止めているメッセージ」を返すことが重要です。

この姿勢が相手の心理的安全性を高め、「話しやすい人」という評価につながります。若手は話を遮られたり急かされたりすると萎縮しがちにもなります。上司やリーダーがアクティブリスニングを取り入れることで、職場全体の空気感が明らかに変わります。

▶図1:アクティブリスニングを実行する基本的な流れ

② アサーティブコミュニケーションで理解と主張の両立を図る

アサーティブとは、「相手を尊重しながら、自分の意見も適切に伝える」コミュニケーション手法です。職場では、遠慮しすぎると仕事が滞り、強く出過ぎると対立を生むため、両者のバランスが鍵となります。

アサーティブは以下の3原則から成ります。

  1. 誠実:相手を尊重して率直に話す

  2. 対等:立場の上下に関係なく意見を交わせる姿勢

  3. 率直:思っていることを曖昧にしない

例えば依頼の締め切りが難しい場合、「厳しいです」ではなく「日であれば確実に仕上げられます」と代替案を添えることで、信頼度も調整力も上がります。

③ ラポール(信頼関係)を短時間で構築する技術

営業、社内調整、会議運営など、あらゆる場面で成果を左右するのが「ラポール」です。ラポールとは、心理学でいう「安心して心を開ける状態」を指します。

短時間でラポールを築くには以下が効果的です。

  • ミラーリング(相手の動作・スピードに合わせる)

  • バックトラッキング(同じ言葉を使って返す)

  • 小さな承認を積み重ねる

  • 感情に寄り添うリアクション

特にオンライン会議では、表情や声のトーンを意識してやや大きめにリアクションすると効果が高まります。

▶図2:ラポールを形成するための4つの要素

④ 質問力を磨く:情報を引き出すスキル

質問力が高い人は、会議、商談、1on1ですべて得をします。質問の仕方には主に以下の2種があります。

●オープン・クエスチョン(拡大質問)※自由に答えてもらう質問
例:「この企画の懸念点をもう少し詳しく教えてもらえますか?」

●クローズド・クエスチョン(限定質問)※Yes/Noや選んでもらう質問
例:「承認は金曜までで問題ないですか?」

状況に応じて使い分けると、相手から必要な情報を確実に引き出せます。リーダーが若手を育成する場では、オープンな質問を投げかけて思考を広げることが重要です。

⑤ 説明力を強化する:結論ファースト+根拠+簡潔

説明が得意な人と苦手な人の違いは、「情報の構造化」ができているかどうかです。
説明力向上の定番フレームが PREP法 です。

  • PPoint)結論
  • RReason)理由
  • EExample)具体例
  • PPoint)まとめ

例:「この施策を推進すべきです(結論)。なぜなら、コスト削減効果が高く、競合他社も導入しているためです(理由)。たとえばA社では導入後に(例)。以上の点から、今期中の導入を提案します(まとめ)」

このPREP法を活用すると、相手の理解度が高まり、納得感が増します。論理的思考の高い人や忙しい相手などに対して、この流れに沿って簡潔に伝えると効果的です。

3PREPの流れと例

⑥ 提案力を高める:相手のメリット起点で話す

「良いアイデアなのに通らない」ケースの多くは、内容ではなく伝え方に問題があります。提案するときに重要なのは、「自分の言いたいこと」ではなく「相手が得すること(相手に与えるメリット)」を中心に語ることです。

提案の基本構成の例を以下に示します。

  1. 相手のメリットを話す

  2. 根拠やデータを示す

  3. リスクと対策を話す

  4. 結論を簡潔に話す(再度メリットの訴求など)

この流れで話すと、社内外の調整が圧倒的に進みやすくなります。特に複数部門が絡む案件では、関係者それぞれに異なるメリットを提示する視点が重要です。

⑦ ネゴシエーション(交渉力)を強化する

交渉は「勝つこと」ではなく、お互いの条件を満たす落としどころを見つけるコミュニケーションです。そのためには、以下の要素が欠かせません。

  • 相手の交渉の真の目的を探る

  • 表面的な要求だけに反応しない

  • 理想のラインと譲れないラインを決めておく

  • 代替案を複数用意しておく

特に見落としがちになるのが「相手のニーズ分析」です。交渉前にヒアリング項目を整理し、「条件・懸念・利害関係者のニーズ」などを想定しておくと成功率が大幅に上がります。

▶図4:ネゴシエーションを行う際のポイント

⑧ ファシリテーションスキルで成果が生まれる会議に変える

目的のない会議、発言が偏る会議は、生産性を大幅に下げます。
ファシリテーター(意見やアイデアを引き出して場を活性化させる進行者)の仕事は次の3つです。

  1. 場をつくる(目的とゴールを明確にする)

  2. 議論を回す(発言の偏りを防ぎ、発散から収束へと導く)

  3. 結論をまとめる(誰が何をいつまでにやるかを明確にする)

話すのが苦手なメンバーなどに話を振る「ラウンドロビン方式(均等な時間を割り当てるやり方)」、意見を可視化する「ホワイトボードまとめ」などを取り入れると会議の質が向上します。

⑨ 非言語コミュニケーションを整える:表情・姿勢・声

特定条件下の研究では、「非言語」情報の影響が大きいことが示唆されています。

例えば、

  • 声のトーン

  • うなずく回数

  • 姿勢

  • 視線の向け方

が変わるだけで、相手の反応も変わります。

特にオンライン環境では、「カメラ目線」「明るい表情」「反応を少しオーバーにする」が効果的です。日常の1on1でも、背筋を伸ばし、相手に対して開いた姿勢で傾聴すれば相手は安心して話しやすくなります。

⑩ フィードバック力を高める:行動にフォーカスして伝える

効果的なフィードバックは「行動」に焦点を当て、「人格」を評価しないことです。特に若手の場合、人格を否定されたと感じるとモチベーションが一気に下がります。

SBIモデル を使うと、フィードバックが整理されます。

SSituation(状況)

BBehavior(行動)

IImpact(影響)

例:「昨日の会議(Situation)で、相手の説明中に何度か割り込んで発言していたよね(Behavior)。その結果、相手が話しづらそうだったよ(Impact)。次は一呼吸おいて発言するともっと良くなると思う」

フィードバックにおいて相手が「何を指摘されているのかわからない」「指摘が先行して防御的になる」といったことを防ぐことにつながります。また、わかりやすくなるため相手の内省も深まります。

▶図5SBIモデルで相手との合意形成を図る

コミュニケーション能力が組織の成果に与える影響

組織の売上、生産性、顧客満足度は、「コミュニケーションの質」に大きく左右されます。次のように質の高いコミュニケーションは多くのメリットを生み出します。

  • 調整ロスが減り、業務スピードが上がる

  • 誤解やミスが減り、品質が向上する

  • 信頼関係が強化され、離職率が下がる

ある企業の事例では、会議運営の改善により年間100時間以上の業務時間削減につながったケースもあります。

若手の対話力低下へのアプローチ

SNSやチャットの文化では「短文で済むコミュニケーション」に偏りがちです。そのため、「感情を言語化する力」「状況説明の構造化」「その場の空気を読む力」が鍛えられにくくなります。

企業組織として、以下に取り組みながら対話力の向上を図るのが良いでしょう。

  • ロールプレイによる対話訓練

  • 先輩によるメンタリング

  • 非同期型コミュニケーションと対面のバランス調整

まとめ

コミュニケーション能力は、一部の人だけが持つ特別な才能ではなく、誰でも後天的に伸ばせる「仕事の基盤スキル」です。特に現代のビジネス環境では、テレワークの普及、価値観の多様化、スピード感のある意思決定が求められるなど、対話の質そのものが業績を左右する場面が増えています。

今回紹介した10の実践方法は、どれも劇的な変化を求めるものではなく、日々のコミュニケーションに少し意識を加えるだけで効果が表れやすいものばかりです。例えば「質問の質を上げる」「相手の意図を確認する」「合意形成のプロセスを言語化する」といった取り組みは、小さな工夫ながら大きな改善につながります。

さらに重要なのは、コミュニケーションは「相手との共同作業」であるという視点です。自分の伝え方だけでなく、相手の理解プロセスや感情の動きに寄り添う姿勢が、信頼関係と生産性向上の両方をもたらします。

組織としてこのスキルを強化していくことは、単なる「話し方改善」ではなく、職場全体のエンゲージメント、協働力、意思決定スピードを底上げする投資です。ぜひ、自社の状況に合った方法から取り入れ、継続的に「対話の質」を高めていってください。

FAQ7問)

Q1:コミュニケーションが苦手でも改善できるものですか?

A:ほとんどの要素は後天的スキルなので改善できます。特に傾聴や質問力は練習による効果が高い領域です。

Q2:会議が長くなるのですが、どこから改善すべきですか?

A:「目的の明確化」「議題の整理」「ファシリテーションの意識と実践」の3点から着手するのが効果的です。

Q3:若手社員の対話力を伸ばす方法はありますか?

A:ロールプレイ、メンタリング、1on1の習慣化が最も効果的です。

Q4:アサーティブコミュニケーションが難しいですが、コツはありますか?

A:「事実」と「感情」を分けて話す練習をするだけで大幅に改善します。

Q5:交渉力をつけるにはどうすれば良いですか?

ABATNA(代替案)を持つことと、相手の利害を理解する力が最初の一歩です。

Q6:テレワークでもコミュニケーションは改善できますか?

A:会議のルール化、雑談時間の設置、カメラオンの推奨などで改善可能です。

Q7:スキルを定着させるための習慣として続けるコツは?

A:個人の努力よりも、組織として「対話の仕組み」を整えて実行することが鍵になります。

引用・参照元とURL一覧

1.Daniel GolemanEmotional Intelligence

https://www.danielgoleman.info/

2.Gerald Miller “Interpersonal Communication”

3.日本能率協会 コミュニケーションの実態調査(2021

https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0041-communication.html

4.メラビアンの法則研究(UCLA

サイコム・ブレインズの研修プログラム

アサーティブ/ロジカルコミュニケーション - グローバルに通用する研修・アセスメント・映像教材|MBK Wellness株式会社 サイコム・ブレインズ事業本部

山﨑 俊樹
山﨑 俊樹
サイコム・ブレインズ 専任講師 千葉大学工学部工業意匠学科卒業後、印刷関連メーカーに入社し企画宣伝部門にて勤務。製品ユーザー向け広報誌の企画取材や多数の業界イベント企画に携わり、営業支援業務全般を習得する。1994年当社に転職。 これまでの営業支援ノウハウを活かし、教育プランナーとして大手中堅顧客企業の研修プログラムおよび教材・マニュアル開発に尽力。並行して数々の顧客企業の研修講師を担い、実績を挙げた。 2008年当社営業力強化グループの営業マネージャーに就任。その後ジェネラルマネージャー、執行役員を経て、顧客企業の業績向上と社員の能力開発に貢献。2025年4月より業務委託による働き方にシフト。現在は講師業務を中心に顧客企業の支援を行っている。長年にわたり Jazz Saxophone Player として、都内を中心に自作曲を含めた演奏活動も展開中。 【保有資格】HOGAN ASSESSMENT認定トレーナー、DiSC認定トレーナー

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