catch-img

中堅社員のモチベーション低下はなぜ起きる?原因と組織として取り組みたい3つの対策

企業の人材マネジメントにおいて、「中堅社員のモチベーション低下」は多くの企業が直面する課題の一つです。入社715年程度の中堅社員は、業務の中心を担う存在である一方、キャリアの方向性や役割の変化に直面する時期でもあります。その結果、仕事への意欲が低下し、組織全体の生産性や若手育成にも影響を及ぼすことがあります。背景にはキャリア停滞感、役割の曖昧さ、評価制度とのミスマッチなど、個人の努力だけでは解決しにくい構造的要因があります。本記事では、中堅社員のモチベーション低下が起きる原因を整理し、組織として取り組みたい3つの対策(キャリア支援・挑戦機会の設計・学習機会の提供)について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.中堅社員のモチベーション低下が起こる背景
    1. 1.1.中堅社員はキャリアの転換期にある
    2. 1.2.役割の変化と期待の増大
  2. 2.中堅社員のモチベーションが低下する要因
    1. 2.1.キャリア要因
    2. 2.2.仕事要因
    3. 2.3.組織要因
  3. 3.中堅社員のモチベーション低下が組織に与える影響
    1. 3.1.組織の生産性への影響
    2. 3.2.若手社員の育成への影響
    3. 3.3.将来リーダー育成への影響
  4. 4.組織として取り組みたい中堅社員育成の3つのポイント
    1. 4.1.キャリア支援
    2. 4.2.挑戦機会の設計
    3. 4.3.学習機会の提供
  5. 5.まとめ
  6. 6.サイコム・ブレインズの関連ソリューション
  7. 7.FAQ
  8. 8.参照・出典

中堅社員のモチベーション低下が起こる背景

企業において中堅社員は、業務の中心を担う重要な存在です。現場の実務を支えるだけでなく、若手社員の育成やチーム内の調整など、組織運営において幅広い役割を担っています。そのため、この層のモチベーションが低下すると、個人の成果だけでなく、組織全体の生産性や人材育成にも影響を及ぼす可能性があります。

一方で、中堅社員はキャリアの転換期にあたることが多く、仕事に対する意識や役割が大きく変化する時期でもあります。若手社員として基礎的な業務を習得した後、より高度な業務やリーダーシップを求められるようになるため、期待される役割と自身のキャリア意識の間にギャップが生じることもあります。こうした背景が重なることで、中堅社員のモチベーションが低下するケースが見られるようになります。

ここではまず、中堅社員が置かれている状況について整理します。

中堅社員はキャリアの転換期にある

一般的に中堅社員は入社715年前後の社員を指すことが多く、キャリアの転換期にあたります。この時期には、専門性を深めるのか、マネジメントに進むのかなど、将来のキャリアの方向性を考える機会が増えていきます。しかし、企業側からキャリアに関する支援や情報が十分に提供されない場合、将来の見通しが不透明になり、仕事への意欲が低下することがあります。

役割の変化と期待の増大

中堅社員には、個人としての成果だけでなく、後輩育成やチームへの貢献など、より広い役割が求められるようになります。しかし、組織側が期待する役割が十分に共有されていない場合、何を求められているのか分からず、仕事に対するモチベーションが低下することがあります。

1:中堅社員が直面する環境変化

変化

内容

キャリア転換期

専門職か管理職かの選択を考える時期

役割拡大

後輩育成やチーム支援などの役割が増える

期待増大

組織への影響力が高まる

中堅社員のモチベーションが低下する要因

中堅社員のモチベーションが低下する背景には、さまざまな要因があります。キャリアの停滞感、仕事のマンネリ化、評価制度とのミスマッチなど、企業によって状況は異なります。しかし、多くの企業の事例を整理すると、これらの要因は大きく 「キャリア」「仕事」「組織」の3つの観点に整理することができます。

キャリア要因

中堅期になると昇進機会が限られたり、キャリアの方向性が見えにくくなったりすることがあります。特に組織の中でポスト数が限られている場合、一定の年次になると昇進のスピードが緩やかになることもあります。

その結果、「このまま同じ仕事を続けるのだろうか」「自分はどのように成長していくのだろうか」といったキャリアに対する停滞感を抱くことがあります。こうした状態が続くと、仕事に対する意欲が徐々に低下していく可能性があります。

仕事要因

中堅社員は業務経験が豊富になり、仕事を安定して遂行できるようになります。しかしその一方で、新しい挑戦機会が少なくなり、業務がルーティン化することがあります。

また、プレイヤーとしての成果に加えて、後輩育成やチーム調整など複数の役割を担うことも増えていきます。こうした役割の増加が十分に整理されていない場合、業務負荷だけが増え、仕事へのモチベーションが低下することがあります。

組織要因

評価制度や組織文化が中堅社員の役割に十分対応していない場合もあります。例えば、後輩育成やチーム支援といった役割が評価に反映されない場合、「努力が正当に評価されていない」と感じることがあります。

また、組織の意思決定に関わる機会が少ない場合、自分が組織にどのように貢献しているのか実感しにくくなることもあります。こうした状況が続くと、組織への関与意識が低下し、モチベーションにも影響を与える可能性があります。

中堅社員のモチベーション低下が
組織に与える影響

組織の生産性への影響

中堅社員は実務の中心を担う存在であり、業務改善や問題解決の役割も期待されています。この層のモチベーションが低下すると、改善提案や主体的な取り組みが減り、結果として組織全体の生産性にも影響が出ることがあります。

若手社員の育成への影響

多くの企業では、中堅社員が若手社員の育成を担っています。中堅社員の意欲が低下すると、後輩への指導やサポートが十分に行われなくなり、若手社員の成長スピードにも影響が出る可能性があります。

将来リーダー育成への影響

中堅社員は将来の管理職候補でもあります。この段階で挑戦機会や学習機会が不足すると、次世代リーダーの育成にも影響が出る可能性があります。

組織として取り組みたい中堅社員育成の3つのポイント

中堅社員のモチベーション低下を防ぐためには、単発の施策ではなく、キャリア・経験・学習といった複数の要素を組み合わせて支援することが重要です。中堅社員はすでに一定の業務経験を持っているため、若手社員のように単純に研修機会を増やすだけでは十分とは言えません。
キャリアの見通しを持てる環境を整え、成長実感を得られる経験を提供し、必要なスキルを学べる機会を用意することが、中堅社員の意欲や主体性を高めることにつながります。ここでは、多くの企業で取り組まれている3つのポイントを紹介します。

キャリア支援

中堅社員のモチベーションを高めるためには、自身のキャリアを考える機会を提供することが重要です。日々の業務に追われる中で、自分のキャリアについて立ち止まって考える機会は多くありません。そのため、組織としてキャリア面談やキャリア研修などの機会を設けることが有効です。

キャリア面談では、社員がこれまでの経験や強みを振り返り、将来どのような役割を担っていきたいのかを整理することができます。また、キャリア研修では自己理解を深めるだけでなく、組織の中でどのようなキャリアの選択肢があるのかを考える機会を提供することができます。

こうした取り組みは、社員が自分のキャリアを主体的に考えるきっかけとなり、仕事への向き合い方にも変化をもたらします。将来の方向性が見えることで、現在の仕事の意味を再認識できるようになり、モチベーション向上にもつながります。

実際にキャリア面談やキャリア研修を導入している企業では、「これまで自分のキャリアを整理する機会がなかった」という声が中堅社員から聞かれることもあります。面談を通じてこれまでの経験や強みを振り返ることで、自分の役割や今後の成長の方向性を前向きに捉え直すきっかけになるケースも少なくありません。

施策

目的

キャリア面談

将来の方向性整理

キャリア研修

自己理解促進

挑戦機会の設計

モチベーションを高めるためには、成長実感を得られる経験が重要です。中堅社員は業務経験が豊富になり、仕事を安定して遂行できるようになる一方、新しい挑戦機会が減ることがあります。その結果、仕事がルーティン化し、成長している実感を持ちにくくなる場合があります。

そのため、組織として中堅社員に新しい経験や役割を提供することが重要です。例えば、部門横断プロジェクトへの参加、新規施策の推進役、業務改善活動のリーダーなど、通常業務とは異なる役割を担うことで、視野を広げる機会をつくることができます。

また、若手社員の育成を任せることも有効な経験の一つです。後輩を指導する経験は、自身の業務理解を深めるとともに、リーダーシップを育む機会にもなります。現場マネジャーと連携しながら、中堅社員が主体的に取り組める経験を設計することが重要です。

機会

内容

プロジェクト参加

新しい業務経験を得る

役割拡張

リーダー経験を積む

学習機会の提供

中堅社員はプレイヤーとしての成果に加え、後輩育成やチーム支援など、組織の中でより広い役割を担うようになります。そのため、リーダーシップや問題解決、コミュニケーションなど、新しいスキルを身につける機会が必要になります。

企業では、中堅社員向け研修を通じて、これらのスキルを体系的に学ぶ機会を提供することができます。例えば、リーダーシップ研修や問題解決研修などは、多くの企業で中堅社員育成のプログラムとして実施されています。

また、忙しい社員でも継続的に学習できるよう、eラーニングなどのオンライン学習を活用することも有効です。短時間で学習できるコンテンツや実務課題と連動したプログラムを取り入れることで、学習内容を業務に活かしやすくなります。研修と日常業務を結びつける学習設計を行うことが、中堅社員の成長を支えるポイントとなります。

ポイント

内容

短時間学習

忙しい社員でも継続しやすい

実務連動

学習内容を業務に活用できる

まとめ

中堅社員のモチベーション低下は、多くの企業で見られる課題の一つです。背景にはキャリア停滞感、役割の変化、評価制度とのミスマッチなど、複数の要因が関係しています。これらは個人の意欲の問題として捉えられがちですが、実際には組織の仕組みや人材育成のあり方とも深く関係しています。

特に中堅社員は、実務の中心を担うと同時に、若手社員の育成や将来のリーダー候補としての役割も期待される重要な層です。そのため、この層のモチベーション低下は、組織の生産性や人材育成、さらには将来の組織力にも影響を与える可能性があります。

こうした課題に対しては、単一の施策だけで解決することは難しく、キャリア支援、挑戦機会の設計、学習機会の提供といった取り組みを組み合わせて進めることが重要です。中堅社員が自身のキャリアを考え、成長実感を持ちながら仕事に取り組める環境を整えることが、組織全体の活性化にもつながります。

サイコム・ブレインズの関連ソリューション

サイコム・ブレインズでは、中堅社員の育成を支援する研修・学習プログラムを提供しています。

【年代別キャリア開発研修】

【中堅社員向け映像教材】

FAQ

Q1 中堅社員とは一般的にどのような社員を指しますか?

企業によって定義は異なりますが、一般的には入社715年程度の社員を指すことが多いとされています。若手社員として基礎業務を経験した後、組織の中核として実務を担う段階の人材であり、後輩育成やチーム支援などの役割も期待されることが多い層です。

Q2 中堅社員のモチベーション低下はどのような兆候で気づくことができますか?

新しい業務やプロジェクトへの挑戦を避ける、会議での発言や改善提案が減るといった変化が見られる場合があります。また、後輩への指導やチーム活動への関与が消極的になることも、モチベーション低下の兆候として見られることがあります。

Q3 中堅社員のモチベーション低下に対して、企業はどのような取り組みができますか?

キャリア支援、挑戦機会の設計、学習機会の提供といった取り組みを組み合わせることが重要です。キャリア面談や研修を通じて将来の方向性を考える機会を設けることや、新しい役割やプロジェクトを経験できる環境を整えることが有効とされています。

Q4 中堅社員向け研修ではどのようなテーマが効果的ですか?

中堅社員研修では、リーダーシップ、問題解決、後輩育成、キャリアデザインなどのテーマが多く取り入れられています。プレイヤーとしての成果に加えて、周囲に影響を与える役割を担うためのスキルを学ぶ機会が重要になります。

Q5 eラーニングは中堅社員の育成にどのように活用できますか?

中堅社員は業務が忙しく、まとまった研修時間を確保することが難しい場合もあります。eラーニングは時間や場所にとらわれず学習できるため、継続的なスキル習得の機会として活用しやすい学習手段の一つです。

参照・出典

厚生労働省 労働経済の分析
https://www.mhlw.go.jp

Gallup State of the Global Workplace Report
https://www.gallup.com

OECDSkills Outlook
https://www.oecd.org

Harvard Business Review
https://hbr.org

サイコム・ブレインズ
https://www.cicombrains.com

金森 祥子
金森 祥子
サイコム・ブレインズ コンサルタント 明治大学経営学部卒業後、キリンホールディングス株式会社に入社。 酒類・清涼飲料業界での営業経験を通じ、「人の成長を支援すること」に関心を抱き、国家資格キャリアコンサルタントを取得。その後、家族の海外駐在に帯同し、現地でキャリアコンサルタントとして活動。特に、育児やキャリアのブランクに悩む女性への支援を行い、「新たな一歩を踏み出す機会を創出すること」の重要性を実感。この経験を契機に、人材育成を自身のキャリアの中核に据えることを決意し、サイコム・ブレインズに入社。 現在は、個人および組織の成長を支援するコンサルティング業務に従事。誰もが前向きに働き、主体的にキャリアを築ける環境の実現を目指し、クライアントに寄り添った支援を行っている。プライベートでは、子育てと仕事の両立に取り組む中で、持続可能なワーク・ライフ・インテグレーションの実践にも努めている。

人気記事ランキング

タグ一覧

Business Masters
ページトップへ戻る